盛岡タイムス Web News   2018年   7月  18日 (水)

       

■  国際防災・危機管理研究岩手会議 震災の教訓未来へ 岩大地域防災研究センターなど主催 20カ国200人の専門家が議論


     
  国際防災・危機管理研究岩手会議で講演するアーノルド・ハウィット博士  
  国際防災・危機管理研究岩手会議で講演するアルイェン・ボーイン教授
 

 国際防災・危機管理研究岩手会議(岩手大学地域防災研究センターなど主催)が17日、2日間の日程で、盛岡市のいわて県民情報交流センター(アイーナ)で開幕した。世界約20カ国から危機管理などの専門家ら約200人が参加。大規模災害、緊急対応、地域復興をテーマに、基調講演やパネルディスカッションを行う他、19、20日には東日本大震災津波被災地の陸前高田市などの視察も予定している。

  同会議の開催は、ライデン大のアルイェン・ボーイン教授を中心とした防災・危機管理に関する専門家研究グループが東日本大震災津波の緊急対応を調査した際、岩手大との関係が構築されたのがきっかけ。これを背景に、震災後に国際防災・危機管理研究に関する会議を2016年に米国・ハーバード大、17年に中国の清華大を開催校として開催し、3回目となる今回は岩手大が開催校となった。

  開会式に続き行われた基調講演で、岩手大の岩渕明学長は「11年東日本大震災津波後の岩手大の復興の取り組み」と題して災害時の大学の役割を説いた。平常時は教育、研究、社会貢献だが、災害時の行動は二通りに分かれる。岩渕学長は「一つは通常の研究・教育活動に立ち戻り、主たるミッションを遂行すること。もう一つは、通常の教育や研究活動が一時中断されたとしても復興に貢献するという方向性。岩手大は後者を選んだ。その理由に、われわれには岩手の住民と一緒に取り組んでいくという04年からのスローガンがあり、そこに議論の余地はなかった」と話した。

  東日本大震災津波では、さまざまな被害があり、地域の再生のため大学が復興に取り組む意義は大きかった。「被災から復興を果たすことで、中国や東南アジア、アメリカなど同様に災害の被害に遭った場所に対して復興のグローバルモデルを示すことができるのではないかと感じた。災害があると、人口が減少することもあり、活動レベルが低下する。大学が貢献としてさまざまな復興の取り組みをすることで、横ばいか、時には傾斜を上向きにできる」とした。

  ボーイン教授は「今後の災害の国境を越えた影響」と題して講演。越境災害は地域的に固定されたものではなく、特定の地理的な範囲を超えていくもので、国や地域だけでなく、制度や政治的な仕組み、専門性もまたぐ。東日本大震災における津波災害、原発事故がもたらした災害は何よりもそれを如実に表しているという。

 ボーイン教授は「津波と原発事故の組み合わせは、われわれが今まで経験したことがないような規模の危機をもたらすもの。専門性もばらつきがあり、新規なものなので、これという即効性のある解決策がない。場面場面で何らかの解決策を見いださなければならない。これが越境的な災害の特徴と言える」と話した。

  17日は同会議に合わせ、いわて復興未来塾(いわて未来づくり機構主催)も開かれ、達増知事や野田武則釜石市長が「東日本大震災からの復旧と復興」と題して、基調報告を行った。


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