盛岡タイムス Web News   2018年   7月  29日 (日)

       

■ 盛岡市動物公園 アフリカゾウの繁殖へ協力 仙台市八木山、秋田市大森山と 頭数減少に国内初連携

     
  現在国内で唯一の種付け実績を有する盛岡市動物公園の雄のアフリカゾウ、たろう  
   現在国内で唯一の種付け実績を有する盛岡市動物公園の雄のアフリカゾウ、たろう  


 盛岡市動物公園(辻本恒徳園長)、仙台市八木山動物公園(金集隆幸園長)、秋田市大森山動物園(小松守園長)は2018年度から、アフリカゾウの繁殖に向けて連携協力をしていく。アフリカゾウは、ワシントン条約で海外から連れてくることが難しくなったことに加え、国内動物園で近年繁殖が見られず頭数が減少し、将来的な飼育展示が危機的な状況。3園は6月に覚書を交わしており、今後、個体移動による繁殖の可能性を探っていく。個々の園が個体移動して繁殖に取り組んだ例はあるが、地域で複数の園が連携した取り組みは国内初となる。

 今回の3園の連携では▽個体移動などの計画策定▽計画に基づく雄雌ペアリングによる繁殖のための移動▽ゾウの健康維持や繁殖につなげるため技術と情報の共有▽連携策を協議するための定期会議の実施−に取り組む。

  3園は現在計7頭のアフリカゾウを飼育し、それぞれ繁殖適齢(10歳から40歳)の雄雌がいる。一方、八木山動物公園の雄のベン(29)は繁殖行動が認められず、現在は雌と分離飼育されている他、大森山動物園の雄のだいすけ(29)も交尾はしているが妊娠には至っていない。アフリカゾウは雄雌の相性や環境の変化で、発情回帰につながり、繁殖に結びつくケースもある。

  覚書に基づき、18年度は八木山動物公園の雌のリリー(29)、大森山動物園の雌の花子(29)をそれぞれ交換移動し、ペアを変えて発情を促す。

     
  東北3園が連携して今後の繁殖の可能性を探っていく、盛岡市動物公園で飼育する雌のマオ  
   東北3園が連携して今後の繁殖の可能性を探っていく、盛岡市動物公園で飼育する雌のマオ  

  盛岡市動物公園の雄のたろう(28)と雌のマオ(16)は、交尾行動が見られるため、当面は現在の状況のままで繁殖を目指す。同園はマオを東京から運んだ経験を持つため、輸送などの支援を行う。今回のペア交換による繁殖の経過を2、3年で判断し、うまくいかない場合は同園の雄雌も含め、改めて交換繁殖の可能性を探っていく。


  国内の動物園で飼育されているアフリカゾウの頭数は、1986年の80頭をピークに年々減少しており、17年は17園34頭になっている。現状では20年後には4〜6頭に減る試算もある。

  アフリカゾウの繁殖は、雌の発情期が年に3、4回と少なく、妊娠から出産まで22カ月の長期間となる。体が大きなアフリカゾウは、人工授精が難しく、危険も伴うため、国内での成功実績はない。雄雌を一緒に飼育して交尾させる繁殖例は、国内では13例あるが、01年の同園のはなこを含め死産流産が4例、出産後に死亡が4例で、生存は5例にとどまる。

  国内では種付け実績のある雄の数自体も少なく、現在生存しているのは同園のたろうのみ。09年、13年に繁殖に成功した、とべ動物園(愛媛県)の雄アフも16年に亡くなっている。今回の連携した繁殖の取り組みが成功することで、東北の3園が国内の繁殖基地になり、将来的な飼育展示の危機を解消できる可能性もある。

  辻本園長は「秋田、仙台、盛岡の3園が同じような地域で連携していくことが大きな意義がある。その上で、難しいアフリカゾウの繁殖を成功させることができれば、繁殖の成果はもちろん、単独の動物園だけではできないことがこれから増えてくる中で動物園同士の連携により大きな成果が得られることをアピールできる」と話した。


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