盛岡タイムス Web News   2018年   7月  31日 (火)

       

■  ILC日本誘致 3兆円余の経済波及効果 県推進協が独自試算を公表 生産誘発額は5兆7200億 建設10年、運用10年の期間で


     
  経済効果を報告する谷村会長と鈴木委員長(左から)  
  経済効果を報告する谷村会長と鈴木委員長(左から)
 

 国際リニアコライダー(ILC)の日本誘致が実現した場合の経済波及効果は20年間で3兆106億円になると、県ILC推進協議会(谷村邦久会長)が30日に発表した。国の有識者会議の試算とは異なる算出方法を使用。半導体、自動車などの加速器ビーム利用産業に波及する経済効果を建設10年、運用10年の計20年間で算出した。最終需要から誘発される生産誘発額は5兆7200億円になるとした。この調査結果から、推進協は政府の誘致決断を後押しする考え。

  16年2月に発足した協議会内のイノベーション・経済波及効果調査委(委員長・鈴木厚人県立大学長)で経済学者の意見助言などを得て試算。文科省の「ILC建設と活動、技術開発による経済波及効果」とは異なる独自の算出方法で、ILCの社会意義を示す3項目の効果を示した。

  一つ目の「基盤技術(加速器関連技術)の発展・利用による産業の波及効果」は、3兆106億円と算出。ILCの建設費と運用経費から、ビーム利用産業のILC波及効果を出し、国内の経済波及効果を建設10年で8639億円になると計算。それに運用10年を加えて導き出した。多分野の最終需要から誘発される国内生産額「生産誘発額」は、20年間で5兆7190億円になるとした。有識者会議が5月に示した試算では、同期間の経済波及効果(最終需要額)は約1兆2200億〜1兆3300億円。国が示す生産誘発額は約2兆3800億〜2兆6100億円となっている。

  二つ目の民間投資における「世界とつながる新たな地方創生の効果」は、約4千億円と試算。東北エリアにILC・加速器関連産業が約700事業所あるとし、民間を事業主体に公共事業を行うPFI等の施設、住宅などに係る「民間投資」を、約1千億円とした。「居住者・来訪者の消費支出額」は約3千億円とし、外国人が約1200億円、日本人が約1800億円の内訳。試算対象外とされたが▽ベンチャー企業などによる地方創生▽林業や農業、酪農、水産へのILCの排熱利用など「GreenILC」の可能性▽世界の研究・技術者が集う研究開発現場での教育や交流、人材育成―なども新たな地方創生に効果があるとした。

  三つ目の「更なる変革・社会課題解決等の可能性」には▽既存の加速器関連研究から生まれた新技術・新製品▽加速器駆動核変換システム(ADS)での放射性廃棄物処理(短寿命化)への貢献―を挙げた。ADSについては、高レベル放射性廃棄物の半減期を約100分の1(数万年から数百年)にする可能性があるとしている。

  谷村会長は「ILC実現には、欧州の素粒子物理戦略の次期5カ年計画(2020年開始)に日本の協力を示すことが必要。この調査結果の活用を促し、政府の決定を計画策定に間に合わせたい」と話していた。


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