盛岡タイムス Web News   2018年   8月  19日 (日)

       

■  岩手の生協ものがたり 県民の暮らし支えて奮闘記 加藤善正さん(前会長理事)著県生協連から


     
  「岩手の生協ものがたり」を著した加藤善正さん  
  「岩手の生協ものがたり」を著した加藤善正さん
 

 県生協連(飯塚明彦会長理事)は、このほど、前会長理事で現在、顧問の加藤善正さん(78)が著した「岩手の生協ものがたり」(定価1080円税込み、A5判、184n)を発刊した。岩手の生協の先頭に立って活動を続けてきた加藤さん。生協の誕生から今日までの歩みを、実践に込めた思想や社会的背景に触れながら紹介している。「協同組合らしい生協」のあるべき姿とは。原点を問う1冊だ。

  北海道生まれの加藤さんは1961年、岩手大学生協設立に学生常務理事として関わり、66年に専務理事。盛岡市民生協の設立に尽力した。90年に県内5生協が合併して誕生した「いわて生協」では専務理事を務め、98年から2004年まで理事長として活動をけん引。66年に設立された県生協連でも役員、会長理事と要職を担い、2017年の退任まで県内生協運動の主導的役割を果たした。

  一貫して柱に据えてきたのは「協同組合らしい生協であること」とICA(国際協同組合同盟)の定義・価値・原則を重視して実践を積み重ねること。協同組合は組合員の「共通のニーズと願いを実現する」ため、地域社会の現実を見詰め、学び合い、その中から生まれる期待と要請に基づいて活動することが求められるという。

  生活必需品の共同購入から始まった事業は、大型店の運営をはじめ介護福祉、葬祭事業と幅広に発展。一方で食の安全、安心を守る運動や憲法9条の改憲に反対する署名運動など平和と民主主義を求める活動にも力を注いできた。

  「生協は事業経営体としての役割、より良い社会を目指す社会運動体としての役割、両方を果たしていかなければいけない」と加藤さん。全国では政治色のある活動は事業経営にマイナスと控える向きもあるが「政治は暮らしと密接に関わっている。社会運動体としての役割を発揮しなければ、協同組合としてのアイデンティティーが失われてしまう」と警鐘を鳴らす。

  ユネスコ(国連教育科学文化機関)は2016年、「協同組合の思想と実践」を世界無形文化遺産に登録した。「国連も現在のグローバリゼーションや金融資本主義が、世界的な貧困と格差、分断、食糧危機、環境破壊などをもたらすことに危機感を持っている。その中で、協同組合が持つ国際的な価値を認めた」。その意義を改めてかみしめ、次世代に引き継いでいきたいと願う。

  同書はさわや書店本店とフェザン店で販売。問い合わせは県生協連(電話019―684―2225)。


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