2004年 11月 8日 (月)        

■  〈美術〉柵山龍司氏が対談 個展「日常の向こう側」で

 盛岡市在住の柵山龍司さんの個展「日常の向こう側」がこのほど、岩手町の石神の丘美術館で開幕した。1950年代から2004年までの油彩やスチール溶接立体作品など112点を展示している。初日は同館の芸術監督の六岡康光さんとの対談が行われた。

六岡康光さんと対談する柵山龍司さん(左)と「作品W」(1962年、鉄溶接)
【写真】六岡康光さんと対談する柵山龍司さん(左)と「作品W」(1962年、鉄溶接)

 「すべての作品のテーマの底には死がある」という柵山さん。作品の中にそのモチーフがはっきりし始めた時期について、六岡さんは「『コロニィシリーズ』を見ると、色や模様から5、6世紀の日本の古墳の石室の壁画に通うものがあると思う。それは死の世界を当然連想させる。『ランドスケープ』はあの世とこの世の境界の辺りの印象と受け取った。『重三角飛行体』は人類の滅亡とつながる不吉な予感を感じさせる」と分析した。

 「自分は美術家ではない」と公言する理由については「美術家のプロは作品をどんどん売って有名になりごほうびをもらうが、自分は違う。やりたいことしかやりたくない。壁に飾って楽しむものを作るのではなく、壁に掛けたら見る側がまいってしまうようなものを作っている」と言う。

 制作したものを「作品」ではなく「資料」と呼ぶことについては「将来も含め、自分が生きてきた中でどういうことを考えていたかの資料に過ぎない。作品というのはおこがましい」と説明。

 六岡さんが「観賞するためではないという明らかに美術とは違う意識で作品が作られている。ではなぜ作ったのか。美術作品でなくて何か」と質問。

 「制作していないときに何をしているかというと、野山の散策か読書。それが蓄積されていく。あるとき、自分の頭の中にいろいろな映像が出てくる。それが現在の自分にとって正しいのかどうかを検証しないと気が済まない。そこから制作が始まる。その途中にはいろいろな問題が生まれる。そうすると、哲学や科学の本を開いたりして徹底的に調べる。制作は5年ぐらい続く。自分の頭の程度でわかるところまでで平面や立体を作る」と話した。

 会場からの「制作するときにデッサンをするのか」という質問には「デッサンはしない。9割ぐらいまで形が決まって取り掛かっていいとなるまで頭の中で練り上げる」と答えた。

 溶接からコンピューターグラフィックス(CG)まで、物作りの点でいろいろな道具が出てきたことへの自分の中での理解を問う質問には「せっこき(なまけもの)だから。手でやると数日かかるが、CGは仕事が速い。CGだけだとしょうがないので、写真を伸ばして加筆して、もう一度写真に撮ってCGを加えて加筆してという作業」と説明。

 「これからは種を埋めて芽を吹いたところなど、死だけでなく生きる方向のものもやってみたい」と次作への意欲も語った。

 1928年盛岡市生まれ。51年県立盛岡短期大学美術工芸科洋画科に入学。50年代から絵画作品を発表。59年岩手芸術祭賞受賞。82年県優秀美術選奨受賞。11月28日まで。午前9時から午後5時(入場は同4時半)まで。一般300円、高校、大学生は200円。中学生以下は無料。


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