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森林総合研究所東北支所(盛岡市下厨川、中島清支所長)の04年度研究発表会は2日、同市の県民会館で開かれた。今回は4件の研究について発表。うち2件は地球温暖化とかかわりのある内容となった。
斎藤武史森林気象環境担当チーム長は「ブナの森はどのぐらいの二酸化炭素を吸い込むか?」についてこれまでの観測と考察を発表した。
地球温暖化は大気中の温室効果ガスが増大することによって引き起こされるもので、気温だけでなく気象などにさまざまな影響を及ぼすとされることから世界的には気候変動と呼ばれている。2月に発効した京都議定書では、二酸化炭素(CO2)の吸収、固定源としての森林機能を認めて、各国の削減目標では森林などによる吸収、貯蔵量が削減量に勘案される。このような状況から、大気、森林間におけるCO2の動態を把握し、吸収量を明らかにする必要に迫られている。
森林総研では、樹種や気象条件の異なる全国6カ所の森林に観測タワーを設置しCO2の動態観測を継続している。北海道札幌市のミズナラ・シラカンバ林、埼玉県川越市のコナラ林、山梨県富士吉田市のアカマツ林、京都府山城町のコナラ・ソヨゴ林、熊本県鹿北町のスギ林、そして安代町のブナ林で、既存1施設のほか1998年に5カ所で観測施設が建設され、CO2出入り(フラックス)を観測している。
同日の発表は安比高原のブナ二次林に建設した施設での観測に基づいたもの。標高825メートルで林の群落の高さは約19メートルという国有林内に、高さ31メートルの観測タワーを建設。林内外の風速、温度、湿度、CO2濃度などの変動を精密に観測している。データを渦相関法(乱流変動法)を用いて解析。CO2フラックスの日変化、季節変化、年間のCO2吸収量などが分かってきた。
これまでの解析によると、CO2フラックスには日変化が見られ、良く晴れた夏の日中には葉の光合成によってCO2吸収量が大きく、夜間は樹木や土壌の呼吸によるCO2の放出が見られる。
1日のCO2収支は天候や季節によって変化し、広葉樹のブナが落葉季の10〜4月には植物体や土壌層からの呼吸による放出のみが観測され、1日当たり1〜2グラム/平方メートルの比較的安定した値を示す。5月の開葉とともにCO2吸収量が増大し、その後の緑葉季は大きな日変動を伴いながらおおむね収支はマイナス値を示す。晴天日はCO2吸収量が大きく、曇天や雨天の日は小さくなる。
年間で見た場合00年10月1日を起点に積算すると、安比高原のブナ林が1年間に吸収したCO2量は、1ヘクタール当たり11トンとなった。1ヘクタールのブナ林では年間、200リットル入りドラム缶約22本分の灯油を燃焼して発生するCO2量に相当する量を吸収したことになる。
今後の課題として▽観測精度を向上させ世界的に共通した観測、解析手法とリンクし、世界の森林と比較し、ブナ林の特徴を明らかにすること▽長期連続観測を継続し季節変化、経年変化などの特徴を明らかにし気候変動などの環境の変化に対するブナ林におけるCO2吸収機能の変化を明らかにすること▽ブナ林の生理、生態的機能、土壌生態系の機能などを解明し、ブナ林生態系によるCO2吸収、放出のメカニズムを明らかにすること−を課題、目標に挙げている。
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