■ 県立病院の一部「無床化」案を正式提示 知事「医療の危機」を訴える
|
県医療局は17日、09〜13年度を期間とする県立病院等の新しい経営計画案を公表した。同計画案では沼宮内病院、紫波地域診療センター等6施設を無床診療所化する内容が明るみとなり、当該市町村から反発が出ている。同日に説明された県議会の議員から「乱暴だ」などと再考を促す声も上がった。達増知事は同日の定例会見で、勤務医の負担が非常に重くなっていることなどから「県全体の医療体制がつぶれてしまう危険性を岩手の地域医療は抱えている」と述べ、全県として地域医療を守る観点から作成した計画案への理解を求めている。
計画案の中では、計161床となる6施設を無床化し、ほかの病院の中にも病棟ごとの病床配置を見直し削減する方向性が示されている。県立病院間の役割分担の明確化と特色ある医療の提供、医師不足解消に向けた取り組みの推進、安定した経営基盤の確立などを基本方向に掲げた。無床診療所への移行は、沼宮内が10年度から以外は09年度から。
県立病院間の役割分担等の観点から、6施設の無床化、7病院での病床配置の見直しを挙げ、安定した経営基盤の観点では病床規模の適正化による職員配置の見直し等に言及している。
達増知事は会見で「勤務医から、有床診療所の有床であるがゆえの夜勤が非常に負担になっていると聞く。岩手全体として勤務医の負担は非常に重くなり、続けられない、辞めるしかないと決断するかしないで悩んでいる勤務医も少なからずいる状態と聞いている」と、現状を説明。
「集約化によって少しでも勤務医の負担を減らし、(無床化地域でも)しっかり診療できる体制が求められている。岩手の今の医療の医師不足をはじめとした危機的状況は非常に憂慮ならない状況」と危機感を説いた。
さらに「広く県民的な議論をして、岩手の地域医療を守るイコール県民一人ひとりの健康を守るためにどういう体制を取っていくのがいいか(作りあげていかなければならない)。そういう中ですべての人が自分の要望を全面的に通そうとすると、全体の崩壊につながる状況をみんなで理解し、医療に関する意識、社会意識と強い自覚が必要な局面だ」と、個別の地域だけではなく、全県的な視点で考える必要性を訴えている。
田村均次医療局長は計画案公表に当たって「二次保健医療圏を基本とした役割分担と連携をより一層進め、良質な医療を提供できる環境の整備や安定した経営基盤の確立に向け案をとりまとめた」とし、無床化に関しては「不便をかけることになると思うが、県立病院が今後ともその役割を果たしていくためには、計画案を着実に実行していくことが必要」と理解を求めるコメントを出した。
県立病院の経営は近年、赤字が続く厳しい経営環境。07年度実績は収益921億100万円、費用931億8200万円で、10億8100万円の赤字。年度末累積欠損金は138億3800万円になっている。08年度は赤字が26億6100億円に増える見込み。09年度からの新しい計画案では単年度赤字を減らし、11年度以降は黒字化しようという内容になっている。
事業経営の中で、特に常勤医師の不足は深刻。03年度の535人から、07年度は75人少ない460人まで急激に減少した。こうした状況の中で、県立病院としての使命を果たしていくには、これまでと同様の機能や規模を維持していくことは困難としている。
計画案に対する県民からの意見聴取(パブリックコメント)は20日から12月19日まで実施。来年2月ごろに計画を策定し、09年度から実行したい考えだ。
意見は郵便、ファクス、電子メールで受け付ける。 |
|
|
|
|
|
|