2009年 5月 21日 (木)

       

■ 〈保阪嘉内の短歌〉17 望月善次 関東のくぬぎ林は

 関東のくぬぎ林はいちやうに春の小雨
  に濡ると見てすぐ
 
  〔現代語訳〕関東のクヌギ(櫟)の林は、同じ様に、春の小雨に濡れていると見て過ぎたのです。

  〔評釈〕「春日哀愁篇」十七首〔『アザリア』第1号〕の十七首目。三首前に置かれた「四首旅 日記より」の注記があるから、盛岡以外の場(より嘉内に即した解釈を加えれば、「旅」であるから、郷里の山梨以外を加えることも可能となろうが、そうした場合、「山梨」は、「関東」の中に入っているのかという問題も起ころう。)としての「関東」が、とらえられている。実際には、関東のどこかの土地におけるクヌギ(櫟)林の小雨に接しての感慨であり、「関東のくぬぎ林はいちやうに」と表現しているから、同様の体験を、その該当する地域以外でも体験したことになろう。いずれにしても、クヌギ(櫟)林の小雨を「関東」という大きな地域の中に置いてみせたところが作品の手間。ちなみに、クヌギは「本州〜沖縄、東アジアに分布するブナ科の落葉高木。山地、丘陵地にはえ、里山の雑木林の最もふつうの構成種。」〔『マイ・ペディア』〕とあるから、典型性も持つことになる。

  (盛岡大学長)


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