2009年 5月 28日 (木)

       

■ 〈お父さん絵本です〉260 岩橋淳 ぞうのパパール こどものころのおはなし

     
   
     
  フランス人作家・ブリュノフ夫妻が、わが子のために描いたといわれています。親子2代に渡ってシリーズとして描き継がれ、後世、映画やアニメや音楽劇になったり、愛らしいキャラクターも手伝って、80年近く読み継がれている、現在も人気の作品です。

  物語は、アフリカ?のジャングルから始まります。おかあさんの愛情を一身に受けて育った子ゾウのババール。ところが、不幸は一瞬のうちに起こります。目の前で、おかあさんは密猟者に撃ち殺されてしまうのです。そして自らも追われ、三日三晩駆け通しでたどり着いたのは、大都市、人間の世界。そして、新しい生活が、かれを待っていたのです。

  親を殺した人間への葛藤が描かれず、むしろ進んで人間文明になじみ、故郷へ持ち帰るばかりか王として君臨することになるなど、作品の成立時期からも「ヨーロッパ諸国の植民地政策」プロパガンダととらえる読み方があり、物議を醸すこともあるようです。以前ご紹介した『ちびくろさんぼ』にも同様の影がつきまといますが、これも本作同様に当初はわが子のために描かれた作品である点、解釈の一人歩きが招いた不幸、と言えなくもない。

  読者のみなさんは、どうお読みになりますか。

 【今週の絵本】『ぞうのババールこどものころのおはなし』J・d・ブリュノフ/作、矢川澄子/訳、評論社/刊、1470円(税込み)(1931年)



本ページ掲載内容の無断転載を禁じます
ホームページに関するお問い合わせ、取材に関する情報は
E-Mail:hensyuu@morioka-times.com
盛岡タイムス宛てにお願いします