2009年 6月 2日 (火)

       

■ 〈イタリアンチロルの昼下がり〉71 及川彩子 ごみ収集事情

     
   
     
  1967年、北イタリアのミラノ近郊セベソという町で農薬工場が爆発、大量のダイオキシンを含む白い粉が、町中に降り注ぐという事件がありました。

  産業廃棄物などに含まれる猛毒ダイオキシンは、当時、認識が低く、正式に研究発表されたのは事故から20年後でした。人体被害の裁判は今も継続中で、土地に染み込んだ毒素が消えるまでに数十年と言われます。

  セベソのA地区は、今も二重の柵が張り巡らされ、普段は立ち入り禁止ですが、最近「環境維持自然公園」と名付けられ、週に一回ほど市民に開放されていると聞きました。この事件をきっかけに、ごみの焼却や処理法など環境をめぐる問題が、世界中に広まっていったのです。

  セベソ事件から40余年。イタリアでも、やっと分別収集が始まりました。これまでは、通り沿い100メートルごとに置かれた巨大ごみ箱に、家庭ごみ・粗大ごみ・壊れた電気器具から草刈の雑草まで、何でも入れ放題でした。それが瓶類・紙類・その他の3種類のごみ箱が、新たに設置されたのです。

  ごみ箱はお洒落なデザイン〔写真〕で、景観との調和が重視され、毎日朝早く清掃車が来て運び、ごみを貯めないよう努めているのです。以前は、すべて税金で賄われていましたが、今は一家族年間約1万円程の負担が義務化されています。でも、そのおかげで町は、いつもきれいに保たれているのです。

  環境維持の先進国である日本の道路わきはごみ置き場。中身の透けて見えるポリ袋の山に群がるカラスを思うと、分別収集の気配りと、美観とのアンバランスに首をかしげざるを得ません。

  分別収集が始まったばかりのイタリアですが、その傍に、恵まれない人たちへの衣類ボックスが置かれています。環境プラス助け合いのメッセージが、町の至る所に見られるのもお国柄でしょうか。

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