2009年 8月 13日 (木)

       

■ 〈保阪嘉内の短歌〉50 望月善次どろの木のあんまり光る

どろの木のあんまり光る葉をよけんと
  引きしカーテンに青空が透く
 
  〔現代語訳〕ドロ(白楊)の木が余りにも光る葉を避けようと、引いたカーテン(の向こうに)青空が透いて見えています。

  〔評釈〕「大空がまったく晴れておそろしや」三十二首〔『アザリア』第二輯(盛岡高等農林学校アザリア会、大正六年七月十八日)〕の二十三首目。「ドロ(白楊)」は、賢治愛好の樹木として良く知られている。(特に「銀白楊(ギンドロヤナギ)」への愛好振りは著名。思いが、「ぎんどろ公園」にまで及ぶ各位もあろう。)このヤナギ科の高木は、賢治ばかりでなく、当時も多くの若者の心を誘ったのであろう。嘉内の生活史に引きつけて言えば、抽出歌の「カーテン」は、学生寮の「カーテン」であり、だとすると「どろの木」もキャンパス内の「どろの木」となる。そうした、作者の生活史に沿った解釈の適否については、当然のこととして、評価が分かれるわけではあるが、カーテンの向こうに透けて見えた青空に(もちろん、抽出歌そのものは、一般的には、解釈の展開をそこまで及ぼすことがふさわしくはない作品ではあるが)嘉内は、一体何を見たのかということも気になるのである。
  (盛岡大学学長)

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