2009年 10月 22日 (木)

       

■ 〈保阪嘉内の短歌〉76 望月善次 柔和なる鳩糞石は

 柔和なる鳩糞石は磨かれて 天の柱に
  なりて光れり
 
  〔現代語訳〕柔和な鳩糞石は磨かれていて、まるで「天の柱」のようになって光っています。

  〔評釈〕「山に向へば」十首の七首目〔『アザリア』第三輯(盛岡高農アザリア会、大正六年十月十七日)〕。やはり、「秩父・甲斐・諏訪」方面の「地質旅行」中の一首。相変わらずの「地質学音痴」で、「鳩糞石」の具体に触れることができないところが、いかにも申し訳ないところ。地質の宝庫である、秩父の石の一つである「鳩糞石」が、おそらく何らかの自然現象によって「磨かれたような状態」になって、そのありさまが、まるで「天の柱」のように感じられたことを作品としたのだと読んだ。「柔和なる鳩糞石」の「柔和〓鳩糞石」は、比喩(ゆ)的に言えば「結合比喩」。人間以外のものにある感情を投げかけるいわゆる「擬人法」は、既にいくつかの作品に見てきたようにこの時期の嘉内作品に見られる特徴の一つであるが、それは賢治作品の骨格でもあることに改めて言及しておこう。
  (盛岡大学学長)

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