2009年 12月 19日 (土)

       

■ 〈保阪嘉内の短歌〉98 望月善次 銀河光軸 きらびやかなる

 銀河光軸 きらびやかなる星の帯、ま
  ことは秋の夜のおほぞら
 
  〔現代語訳〕銀河が見せる光軸よ。きらめいて美しい星の帯よ。ああ、これこそが本当の秋の夜の大空なのです。

  〔評釈〕「寂れたる空」十首〔『アザリア』三号〕の最終歌で、「(銀河光軸)」の小題がついている。「まことは」は、それまでの叙述を否定するものだが、ここではそうなっていない。「銀河光軸」は、(素人的知識からすれば)「銀河の光軸」だから、語感的には少し無理があるの感を捨てきれずにいるが、むしろ、冒頭七音の使用に注目した。冒頭を七音にして以下を七五七七と短歌定型の音数を守る手法はなかなかのもの。しかし、この手法が短歌定型の意味を見通したものであったかについては、その後の人生における嘉内の文学的・短歌的展開を見ると、自覚的なものであったというより、偶然的な面が強かったとすべきであろう。「銀河」といえば、あの「銀河鉄道」を連想させる嘉内の中学校一年時のスケッチのメモ〔「銀漢ヲ行ク彗星ハ夜行列車ノ様ニテ」〕や、「現空間の最大領域(宇宙)は銀河系だった」〔『新宮澤賢治語彙辞典』〕賢治の宇宙観に及びたくなるが深入りは抑制したい。
(盛岡大学学長)

本ページ掲載内容の無断転載を禁じます
ホームページに関するお問い合わせ、取材に関する情報は
E-Mail:hensyuu@morioka-times.com
盛岡タイムス宛てにお願いします