2010年 1月 1日 (金)

       

■ 〈特集1〉地域おこし新たな幕開け 住民たちが立ち上がった

     
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  互いに助け合っていた結(ゆい)の精神でにぎわいを取り戻そうとする動きが各地で始まり出している。「地域おこし」とは住民同士が手を取り合って地域を見直し、誇りを持って生きることという。先立ちになっているのは団塊世代や80代の高齢者ばかりではない。そこには女性たちや若者も積極的にかかわっている。今、地域に関心を持つ住民が増えているのだ。キーワードは「気付き」。見慣れた景観の中にも都会にはない資源が埋もれていて、身近な人たちの中に人材がいる。資源や人材が見つかれば、力を結集して動くことで地域の活力が戻ってくる。(特集取材班・荒川聡、大崎真士、泉山圭)

  地域おこしは地域全体を巻き込んだ大規模なものから、郷土芸能の復活を通じた地域の結び付きの強化、一村一品運動のように特産品開発への取り組み、まちづくり会社の立ち上げなど、さまざまな形で始まっている。行政のお仕着せとは違う、地域で生きる住民自らの手によってというのが、これまでとは違う大きな特徴だ。

  ■地域は自らの手で

  滝沢村柳沢の住民は岩手山ろくの素晴らしい自然と景観を守ろうと地域おこしに取り組んできた。工房まつり、地域通貨、日曜朝市…。活動から十数年たち、新たな課題も浮かび上がってきた今、活動をを振り返る時期に差し掛かっている。

  都市部はどうか。県都盛岡では経済界による活性化策、城下盛岡400年の歴史を顕彰し、文化の街を内外に発信する取り組みが展開されている。

  一方で、松園地区は開発、分譲から30年余が経過し、高齢化が顕著になってきた。1町村に匹敵する規模の街で「松園ネイティブ」と称する2世たちを中心に地域おこしが始まろうとしている。

  「地域に住む自分たちの力で地域をよくしていく」。県立大学の学生有志は地域を限定せず、岩手全体が幸せになるため関係機関に協力を呼びかけ、貧困問題に取り組んでいる。

  紫波町では町ぐるみで取り組む。地域の課題を解決する地区創造会議が各地区に立ち上がった。そこで地域起こしのアイデアが次々に生まれている。

  藤原孝町長は「気付きということは重要。地域のことを知っている人たちが地域のことを考え、地域にある資源を掘りおこし、地域を磨く活動の支援をしている」と、都会にはない地域の資源に気付くことの大切さを強調する。

  ■促進役に希望が続々

  地域おこしを後押しするため盛岡地方振興局では08年度からファシリテーターの養成を始めている。ファシリテーターは促進役とでも訳せばいいか。物事を推し進める手伝いをする。

  初年度は滝沢村、今年度は同村に加え八幡平市でも開催している。参加するのは両自治体の住民のほか、広域圏内の市町村からも応募がある。

  八幡平市の養成講座は定員(30人)を上回る35人が受講した。市内の自治会長や公民館長が中心で「地域おこしのヒントをつかみたいと思って参加した」という。

  08年度の滝沢村の講座に参加した人の中には、講座終了後も独自に学び続けファシリテーターとして活動している人も出ている。新しい形でのワークショップの手法が広まり、人材育成が進むことで各地で地域おこしの芽が出始めている。

  ■高まる高齢化率

  県地域振興部地域企画室が07年度に県内35市町村の3648集落で実施した「集落の状況に関する書面調査」によると、回答した2182集落のうち、65歳以上の人口割合が50%以上になっている集落は1996年に8集落だったのが、10年後の06年は約7倍の54集落に増えていた。

  総務省の現在人口推計によると昨年10月1日現在の岩手県の65歳以上の高齢化率は県全体で26・9%、盛岡地方振興局は最も低い22・16%だが、盛岡管内でも八幡平市、岩手町、葛巻町の3市町は30%を超す。

  八幡平市が07年に独自に調査した結果、高齢化率50%以上の限界集落は13集落あることが分かった。盛岡市や紫波郡でも中心部以外の農村地域でみると、高齢化率30%以上の地域が出現している。

  地域から40歳代くらいまでの世代が減少しているのだ。その地域コミュニティー崩壊の危機に、立ち向かおうという住民たちの今新たな動きが始まっていると言える。


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