2010年 2月 13日 (土)

       

■ 郷土の景観形成へ顕彰制度を提案 岩手大学の八木教授父子

 岩手大教育学部教授の八木一正さん(60)と同大大学院工学研究科電気電子工学専攻1年の一平さん(25)の親子は「誇りある郷土づくり」を実現するための顕彰制度の実現を提案している。岩手は豊かな自然や文化に恵まれるが、都市も農村も街並みや景観への取り組みは遅れている。「ここに生まれて良かった」と多くの人が実感するためには、自然や文化が景観的に調和したまちづくりをもっと大胆に進める必要があると主張する。

 八木さん親子が提案するのは、景観的に調和の取れた民家や公共施設、地域などを世界遺産ならぬ「県民遺産」として県や市町村が顕彰する制度。

  遺産の審査基準には@独創(周りの人の美意識を鼓舞するだけの独創的なアイデアに満ちた住宅か)A調和(住宅が周りの自然・文化と家並みが景観的に調和し一体感が取れているか)B友愛(住人が率先して近隣と互いに助け合い地域の心のコミュニティーづくりに励んでいるか)Cエコ(環境保全・省エネ・防災への配慮が行き届き未来へ持続可能な住宅になっているか)D伝統(県人が本来持っている文化・伝統的感性を生かした住宅になっているか)|を挙げる。それぞれの基準をどの程度、満たしているか点数化し3段階程度にランク付けする。

  遺産とすべき住宅や地域のコンセプトは住民参加型のワークショップなどで決定。審査員は先に県民遺産に認定された家や地域に住む人を充てるなど、評価を分かち合うシステムを作る。

  「県民遺産」と認定される住宅や地域に住むことがステータスになるよう市民運動を浸透させれば「お金をかけず、美しい景観を守る郷土づくりが実現する」と構想する。

  八木教授は鹿児島生まれ。東京で研究を重ね9年前、岩手大に赴任した。理科教育や物理教育が専門。遊園地を舞台にした物理教育などユニークな活動の仕掛け人としても知られる。

  一平さんと共に外国を旅行する機会も多かったが、ヨーロッパなどの調和の取れた街並みに比べ、岩手の景観は「イライラするほど統一美に欠けているところも多い」と指摘。「恵まれた自然や文化を生かし、そこに住む人や訪れた人の魂をゆさぶるような環境づくりをすべき。真に世界に誇れる郷土になってほしい」と願う。

  一方、一平さんもおととしから昨年にかけ1年間、ドイツに留学。ヨーロッパ諸国を旅し、欧州各国の街並みや景観に魅了された。「それぞれコンセプトに沿ったまちづくりが行われ、美しい環境が整えられていることを実感した」と語る。

  2人は顕彰制度を県や県内市町村へ提案した。今後、協力者を募り、制度を実現させるための具体的な仕組み作りを進めたいという。

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