2010年 2月 18日 (木)

       

■ 〈お父さん絵本です〉297 岩橋淳 エルネスト たびするいぬのものがたり

     
   
     
  おそらくは南欧、不自由のない、きままな暮らしをしていた犬のエルネスト。日課は散歩、余暇(?)はコレクションの整理にいそしみ、のんびりと暮らしておりました。

  さて、エルネスト。安穏な、言い換えれば単調な日を過ごしていた彼に、一大変化をもたらしたのは、見ず知らずの相手から届いた、判読さえかなわぬ一通のエハガキでした。

  自分に生まれて初めての便りをよこした、その相手は誰なのか? それまで手紙が来る、などということを想像さえしていなかった彼にとって、これは、事件でした。そう、謎の差出人を訪ねて、長い旅に出ることになるほどの。

  地元の郵便局のカウンターのカンガルーをふりだしに、配達係のツバメ、切手コレクターのセイウチ、パイロットのハヤブサ、船乗りのクマ…。大勢のひとに会い、助力をこい、ついには地球を半周して、たどりついたその先は? そして待つ、思わぬ展開。

  人生は、よく旅にたとえられます。行き先のわからない、長い、旅。その途次には、よい事、わるい事、そしてかならず出会いがある。それを受け入れ、糧にするのは、本人次第。まぁ、そんなにリキまなくても、いいんですが。

  でも、最後はやっぱり、ハッピーエンドがいいですよね。鮮やかさ、技巧も楽しい描写で注目の実力派作者、次回作が楽しみです。

  【今週の絵本】『エルネスト たびするいぬのものがたり』J.シュトゥーアマン/作・絵、関口裕昭/訳、フレーベル館/刊、1260円


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