2010年 9月 8日 (水)

       

■ 〈芸能ばんざい〉25 飯坂真紀 白沢神楽(矢巾町)

     
   
     
  もう10年以上前のことだ。バイクで走っていて見つけた祭の幟幡(のぼりばた)に惹(ひ)かれ、矢巾町の早池峰神社を訪れたことがある。矢巾にも早池峰神社があるとは知らなかった。神楽の奉納があるというので待って見た。それが白沢神楽だった。

  白沢神楽は矢巾町唯一の神楽である。古い歴史を持つ矢巾町には社の数が多く、いきおい祭も多く、つまり神楽の出番も多い。フリーペーパー「もりおか神楽ごよみ」秋号によれば、白沢神楽は9月だけでも1日から17日までの間に8回もの奉納がある。このハードな日程をこなす神楽の舞手はほとんどが女性である。

  神楽は女性を入れないと聞いていたので、初めはちょっとびっくりした。むろん白沢神楽が元から女性限定の特異な神楽というわけではない。後継者難に悩んだあげく、日程の都合をつけにくい男性に替えてお母さんたちを神楽に取り込んだ背景があるわけだ。

  それから年月は流れ、今ではあちこちで堂々と舞う女性を見かける時代になった。なんと私自身が神楽の一員として舞台に立っているとは、あの日、白沢神楽の女性たちを見ていた時には予想もつかないことだった。

  白沢神楽は、早池峰山の山伏から習得した神楽であると言い伝えられているが資料となる物は残っていない。代表の佐々木和男さんは、以前その手がかりをさがして大迫町の岳まで出向いてみたが、残念ながら収穫はなかったという。

  早池峰神楽と白沢神楽には、共通点と違う点があるが、その意味を見極めるのは難しい。今、舞手が男性から女性たちに替わった白沢神楽は、変わったとは言っても、別個の神楽になったとまでは言わないだろう。長い時間の中でどのような変化が起きたかをさぐり、どう位置づけるかが課題である。

  白沢神楽の獅子頭は大きい。男性が扱ってもたいへんな大振りの権現様を、女性の舞手が思い切りよく遊ばせるさまには誰もが感動するだろう。ぜひ一度ごらんください。

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  【白沢神楽の今後の予定】矢巾町白沢熊野神社例大祭(9月13日)、雫石町南畑川井神社例祭(9月17日)ほか

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