2010年 9月 22日 (水)

       

■ 〈過ぎ去りし日〜北上山地の写真帳〉21 フキ煮の頃 横澤隆雄

     
  昭和60年ころ、横沢集落(現・宮古市)にて  
 
昭和60年ころ、横沢集落(現・宮古市)にて
 
  私の実家は北上山地の真ん中にあり、山菜にはまったく不自由しない環境です。というか、山菜の季節になると嫌でも毎日が山菜づくしの食事になります。

  タラノメ、ウド、アイコ、ギョウジャニンニク、ワラビ、フキ、ありとあらゆる山菜が、天ぷら、おひたし、酢味噌(みそ)あえ、クルミあえ、炒め物、と姿を変えながら食卓に上ります。

  たくさん採れる山菜ですが、旬のものとしてその季節にだけ食べられる山菜と比べ、ワラビとフキは特別な存在です。盆、正月のほか冠婚葬祭やちょっとした人の集まりには必ずと言っていいほど登場する煮シメに欠かせない食材なので、どこの家庭でも1年分を塩漬けにして保存して置きます。

  ワラビは生のままで塩漬けできるのですが、フキは煮て皮をむいてから塩漬けにしなければならないので大変な手間がかかります。火が必要とも思われない6月の暑い日に、集落のそちらこちらから立ち上る煙は、間違いなくフキ煮の煙です。煙の側ではお年寄りたちが丁寧にフキの皮をむいていることでしょう。
  (紫波町在住)

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