盛岡タイムス Web News 2010年 12月 2日 (木)

       

■ 〈お父さん絵本です〉336 岩橋淳 ウォーターハウス・ホーキンズの恐竜

     
   
     
  絵を描くことが大好きだった少年が長じて画家となり、才能と努力と幸運で名をなす。それだけで、もちろん大変なことではあります。しかし、19世紀のイギリスを生きた本作の主人公・ウォーターハウスは、かなりの変わり種。画家としての才能は申し分のないものだったに違いないのですが、彼が選んだのは正統派の画家への道ではなく、造形、それも当時研究途上にあって一般にはまだ知られることの少ない、恐竜の造形でした。

  発見された骨格の一部や歯の化石を手がかりに、巨大な古代生物の姿を再現する。女王陛下の名の下に建設される博物館に展示する恐竜の製作を依頼されたウォーターハウスは、取りつかれたかのようにこの作業に没頭、広大な庭園に古代のパノラマを完成させて、国を挙げてのセレモニーを成功に導きます。

  順風満帆とは行かず、招かれて渡ったはずのアメリカで、手ひどい挫折も味わいます。人並み以上の探求心と情熱で信念を貫くかれの姿は、傍目には滑稽にさえ映るかもしれません。さらには新たな発見が重ねられ、学説もあらたまって、いまや恐竜たちの姿も、かつてかれがそうと信じたものからはかけ離れてしまったものも少なくない…。それでも、150年の時を経てなお、水晶宮の恐竜たちは現代の人々を魅了しているとのこと。

  信じた道に懸ける一念、「よくぞここまで」の人生を描いた作品です。

  【今週の絵本】『ウォーターハウス・ホーキンズの恐竜』B・ケアリー/文、B・セルズニック/絵、千葉茂樹/訳、光村教育図書/刊、1995円(2001年)。

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