盛岡タイムス Web News 2010年 12月 30日 (木)

       

■ 〈お父さん絵本です〉340 岩橋淳 ちいさなあなたへ

     
  photo  
     

 若いお母さん(「わたし」)が授かった、ちいさな生命。それが「あなた」との出逢いの日。すべてのものから守ってあげなければならない、「あなた」はちいさくて、弱い存在。…ゆったりと、けれど無我夢中の日々は流れるように過ぎ、ちいさな「あかちゃん」は、やがて「こども」になった。ベッドですやすや眠る「あなた」を枕元で見守る「わたし」のモノローグが、「あなた」のまだ見ぬ未来をなぞります。

  わが子の成長を見守る時、なにもかもが親の手の内にあった頃の安心感と、同時にかかる責任の重さについては、世のお母さんたちがよくご存じの通りです。そして、少しずつ手許から離れ、いつの間にか知らないところまで歩き、やがて巣立ってゆく後ろ姿を見送る時の頼もしさと、寂しさ。

  …、楽しいこと、悲しいこと。こども自身がさまざまな山坂を乗り越え、時には天高らかに謳(うた)い、時には失意に打ちのめされながら、人として育ってゆく姿を見届けることができた時、それが親としての生きがいとなるのでしょう。

  わが子がまっすぐ、すこやかに育つことは、いつの世も親としての願いです。そして、いつの日か親となり、「あの頃」を思い出してくれたら…。母としての喜びや切なさを描くだけでなく、親として、子として、世代を超えた読者の支持を獲得した、感動作です。

  【今週の絵本】『ちいさなあなたへ』A・マギー/文、P・レイノルズ/絵、なかがわちひろ/訳、主婦の友社/刊、1050円(2008年)。


本ページ掲載内容の無断転載を禁じます
ホームページに関するお問い合わせ、取材に関する情報は
E-Mail:hensyuu@morioka-times.com
盛岡タイムス宛てにお願いします