盛岡タイムス Web News 2011年 3月 11日 (金)

       

■ 〈潮風宅配便〜三陸の四季と味覚をあなたに〉19 草野悟 最高の贈り物
「土佐の花かつお」

     
   
     
  毎年決まって「土佐の花かつお」を送ってくれる方がおります。私の師匠であり、先生、神様みたいな方で、マイカル再生を成し遂げた榎本恵一さんと言うやや太めの方です。

  常に尊敬の存在です。送ってくれるから尊敬しているのではなく、尊敬している方が送ってくれるのです。

  ミクロン単位に削られた美しい鰹節。混じりけのない純粋無垢の土佐の鰹節。私は必ず昆布とかつお節からだしを取り、みそ汁はじめさまざまな料理に使います。私流一番だし、これが自慢です。久慈の琥珀(こはく)も逃げ出す魅惑の琥珀色が自慢です。台所に充満する香りの上品なこと、数分茫洋(ぼうよう)としてしまいます。

  さて、早速一番だしを取ります。最初に普代村の身の厚い昆布を水に入れます。弱火で煮だし、沸騰する寸前に取りだします。水は岩手山神社の湧水。これを少し継ぎ足し、おもむろにだしの宝石、土佐の花かつおを惜しげもなく入れます。

  やや中火で煮込みます。数分過ぎたころ火を止めますと、花かつおが底に沈みます。ゆっくりと慎重にこしていきますと、黄金色に輝く桃源郷のだしとなります。

  この最高峰のだしで合わせるのが、山田のおみなやの2年みそ。具材はきょうは宮古の採れたて生マツモを使います。いったん湯通ししたマツモの色は、鮮やかな緑に輝き、ため息がより一層風味を深めます。最後にみそを軽く溶きますと完成です。

  炊きたての真っ白なご飯は矢巾の高舘農園の徳丹米。おかずは山根商店の塩ウニ(塩加減の芸術品)と直利庵のタクワン(冬期間限定貴重品)。軽くみそ汁をすすります。次に塩ウニを一口。卒倒間近です。その勢いで秘伝徳丹米を口に運びます。二口に1回、直利庵のタクワンをポリポリ。気がつくとご飯がありません。

  幸福感に包まれた単身赴任のアパートに、至福の時が流れます。もう会社に行く気は起きません。困ったものです。粗食っていいなあ。
  (岩手県中核観光コーディネーター)


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