盛岡タイムス Web News 2011年 4月 1日 (金)

       

■ 久慈国家石油備蓄基地、地下タンクに損傷なし

     
  地上部の底水排水タンクなどが倒壊した久慈国家石油備蓄基地  
 
地上部の底水排水タンクなどが倒壊した
久慈国家石油備蓄基地
 
  久慈市夏井町の久慈国家石油備蓄基地も、東日本大震災津波に見舞われた。基地の地下には国際情勢の変化などにより石油の深刻な供給不足が発生し、国民生活・国内産業等に影響を及ぼす緊急時に放出される原油167万`gが備蓄されている。大津波は基地を襲い、地上部の巨大な底水排水タンクなどをいとも簡単に押し流し、地上施設は壊滅的な被害をこうむった。しかし地下施設・設備は無事だった。損傷がなく、地下岩盤備蓄タンク内の原油の流出も免れた。復旧にもめどが立ったと事務所では話す。

  久慈国家石油備蓄基地事務所の青山正幸所長によると、11日は携帯電話で緊急地震速報が入り、テレビをつけると大津波警報が発令された。「普段からかなり強い地震が来ることを想定し訓練している。館内に放送をかけ、すぐに待避の指示が出た」という。

  当時、管理棟には55人ほどがいたが、全員が徒歩や車に相乗りして高台の集会所に避難した。地震から避難までは約15分、20分から30分後には津波がやってきた。高台から津波を見たという同事務所職員の高橋悦子さんは「(津波が来る前の引き潮で)防波堤の下まで水がなくなっている感じだった。遠くからでも白波を立てて上がってくる津波が見えた」と話す。

  3階建ての管理棟は1階部分が完全に水没し大量の土砂が流れ込んだ。2階部分も床上浸水し、現在もケーブルが収納された床の一部に津波で浸水した海水が貯まった状態。3階部分の機械のコントロールを行う計器室の損傷はなかった。

  管理棟の外の敷地内はさらに悲惨な状況。底水排水タンク3基、スロップタンク2基が倒壊し、ボイラーなどに使用する燃料タンク2基のうち1基は破壊された。電気設備、排水処理設備なども全損の状態だという。

  油の回収や油処理剤の散布、消火活動などを行う防災作業船「ちかびおやしお」も津波により係留されていた港から流された。浸水した陸地を漂い、現在は水が引いた海岸近くに巨大な船体が打ち上げられている。

  一方で、地震、落雷等の自然災害に強い地下岩盤タンク方式をとる地下岩盤備蓄タンク内の原油に被害はなかった。

  日本地下石油備蓄久慈事業所の吉田久雄安全環境課長は「もし、これが地上にあったらどんな被害を受けたか想像できない」と話す。地上と地下を結ぶサービストンネルも地震発生時にボタン操作で防潮扉を閉めたため、トンネル内に被害が及ぶのは避けられた。

  同基地では18日から津波の被害により停止していた地下岩盤備蓄タンク底部にたまる湧水の排水やタンク内部への不燃性ガスの供給、地下岩盤への水封水供給のための復旧作業が始まった。現在は仮対応で地下岩盤備蓄タンクの運転を安定的に進める準備をし、運転可能なめどはある程度立ったという。

  青山所長は「操業管理の方から見ると運転継続はできる。今の現状を見て、どれから優先的に復旧しなければならないかを本部で判断して施工者に指示し、日々打ち合わせをしながら進めている。できる限り早急にしなければならない」と話す。
(泉山圭)

本ページ掲載内容の無断転載を禁じます
ホームページに関するお問い合わせ、取材に関する情報は
E-Mail:hensyuu@morioka-times.com
盛岡タイムス宛てにお願いします