盛岡タイムス Web News 2011年 4月 2日 (土)

       

■ 〈3・11不屈の意志〜立ち向かう岩手人〉米谷春夫氏 われわれは必ず復活する

     
  被災後の状況を語る米谷社長  
 
被災後の状況を語る米谷社長
 
  大船渡市のスーパーマイヤの米谷春夫社長(63)に東日本大震災津波に伴う対応を聞いた。同社は盛岡市と滝沢村に3店舗を持ち、沿岸を中心に全16店舗を構えていた。そのうち今回の震災で大船渡市、陸前高田市の6店舗中5店舗が被災。多くの従業員を失い、家を失い、自身の母親も亡くした。大きな痛手の中で、しかし前を向いてみせる。唯一残った大船渡インター店は生活物資の供給を一手に引き受けずっと営業を継続してきた。3月29日からは陸前高田市の仮店舗が営業を始めた。危機にひんした市民のライフラインを守ろうという使命感。声高に「復活」を宣言する。(鎌田大介)



  -たいへんでしたね。
  米谷 われわれは復活します。必ず復活しますから。やられたのは16店舗中の6店舗だけです。大丈夫です。

  -地震発生からの営業は。

  米谷 今は損得や売り上げはまったく眼中にない。気仙地方のライフラインを守る、お客様の暮らしを守るのに必死で、1点でも多く商品を集めて提供するのが使命。これだけ。

  -29日から陸前高田に開いた仮設店舗は。

  米谷 2カ所。あとは移動販売車がある。商品を供給して売ってもらう。移動販売車も商品が集まらなくて困っていたので、うちが商品を供給する。マイヤのBGMを流して、移動販売車で回ってもらった。初日は行列をなした。それだけお客様が困っていた。マイヤの看板とステッカーを付けて、移動販売車でも高い値段では売らない。マイヤのフランチャイジー的にやってもらった。

  陸前高田はうちがスーパーを独占していたし、町が壊滅状態で小売店がひとつもない。ガソリンスタンド、公共施設、病院が全部ない。まず食べる物がなければ。衣料品は救援物資で来ているが、調味料、豆腐、納豆がないとか、本当にお客さんが困っているのを一生懸命供給している。豆腐、納豆など日配品、2番目に野菜が求められている。

     
  津波で被災したマイヤ陸前高田店。映像として広く目に焼き付ける形になった  
 
津波で被災したマイヤ陸前高田店。
映像として広く目に焼き付ける形になった
 

  -流通ルートは大丈夫か。

  米谷 北上の物流センターに物を集めて、大船渡インター店に持ってきてもらい、そこから分化する。大船渡インター店が唯一生き残り、気仙地区は5店舗なくなった。大船渡、高田6店舗のうち5店が被災した。釜石は3店舗そのまま残った。大槌町もだめで近々、出張所を設けて本格的な仮店舗を作りたいが、行政のまちづくりがどうなるか分からない。新しい道路を作るのか、線引きは、今までの壊滅前の状態でやるのか、まだ見えない。

  -従業員の被災は。

  米谷 家族が亡くなった従業員が多い。社内で死亡が確認されているのは7人、安否不明が30人。社員は少なく、パートの人で当日休みだった人がほとんど。出勤していた人間は店長たちが迅速に避難指示したので、一人も犠牲者が出ていない。休みだった人が犠牲になった。こんなところまで津波が来るわけないという地域で皆やられていた。海から3、4`離れてやられるとは、考えられなかった。チリ地震の4倍くらいだったのではないか。5階建ての3階まで水が来た。

  -気仙地方の経済再建の道筋は。

  米谷 廃業する人は結構多いと思う。解雇、休業補償を従業員に通知した事業所が出ている。1次産業は全滅状態。復興では建設業は良いと思うが。ただ代表的な地場企業は皆、健在だ。「かもめの玉子」の、さいとう製菓も工場は大丈夫。ブロイラーのアマタケも3カ月くらいかかるが復活する。建設業資材の橋爪商事もやられたが、北上を本部代わりに動いている。大船渡は主力企業が健在なので、それほど深刻な問題にはならないのではないか。一番ひどいのは陸前高田で、壊滅してすべての事業所がだめだ。

  -雇用は確保できるか。

  米谷 うちは被災店舗6店舗で、残っているのは10店舗。被災6店舗に従業員が約400人いる。早く大船渡、高田、大槌に仮店舗を1年以内に作りたいが、雇用継続は難しい。休業補償なり一時的な解雇もやむを得ない。仮店舗ができたときは優先的に入社を出す形が考えられる。

  -盛岡などの店舗への影響は。

  米谷 仙北店と滝沢店は影響ない。青山店は若干、損壊したが修復して営業している。地震の日は東京にいて、新幹線は止まりレンタカーもなくなり、東京の妹の車で26時間かけて戻ってきた。帰ってきてうれしかったのは、残った大船渡インター店がひとときも休まず営業を続けていたことだった。


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