盛岡タイムス Web News 2011年 4月 17日 (日)

       

■ 〈東日本大震災津波〉
   震災孤児へ温かな手 「預かりたい」県内外から50件超す申し出 

     
  被災児童に安全安心感を与える環境が大事と話す岩手県里親会長の高橋忠美さん、佳代子さん夫妻  
 
被災児童に安全安心感を与える環境が大事と話す岩手県里親会長の高橋忠美さん、佳代子さん夫妻
 
  東日本大震災津波によって親を亡くしたり、親が行方不明となっている被災児童は1日現在で44人に上る。被災地の学校では、少しずつ新学期が始まっている。里親への委託、児童養護施設の受け入れなど被災児童が1日も早く安心して日常生活を送れる環境整備が求められている。県里親会の調べによると、県内では35組の里親が児童受け入れに手を挙げている。(泉山圭)

  県では3月16日に各市町村、避難所に対して児童保護の通報制度を周知徹底。同20日から県の児童相談所の職員が現地調査し、同25日からは県外の児童相談所の協力も得て合同7チームを編成して児童福祉司などによる実態調査を実施した。被災児童の数は44人に加え、今後の調査でさらに増える可能性もある。

  県保健福祉部によると現在、避難所で1人で生活している被災児童はおらず、多くが親族などの家庭に避難しているという。今後は児童相談所が個別に家庭の状況やこれからの方針などを相談、調査。児童本人や親族の希望に応じて、里親制度の利用などを検討することになる。

  被災児童の受け入れ態勢としては親族が里親になることが最も望ましく、それが難しい場合は県里親会へ登録している一般の里親への委託、児童養護施設への入居になる。県では従来の里親制度利用による経済的な支援をするほか、震災という特別なケースなので里親に対する説明会なども今後検討する。

  被災児童の里親については既に県内外から50件を超える問い合わせが県に寄せられている。主な内容は「子どもたちを里親として預かりたい」という申し出。

  県健康福祉部児童家庭課の奥寺高秋総括課長は「申し出はかなりあるが、まずは里親登録してからでないと。いくら気持ちがあっても子どもを預けるので調査をしないと簡単ではない。子どもたちの気持ちをしっかりと聞き、納得した上で将来に向けて間違いがない方針を決めていく必要がある」と話す。

  県里親会では震災後に里親登録している会員に書面を送り、積極的に児童を受け入れてもらえるよう依頼するとともに調査を実施した。その結果、35組の里親が児童約50人を受け入れ可能な状態。里親制度では児童の衣食住などにかかる経費は公的補助が受けられる。

  同会の高橋忠美会長は被災児童が両親を亡くした精神的ショックを少しでも和らげるために、これまでの学校に通いながら昼間は友達と遊んだり、話したりできるような状態が望ましいという。一方で、沿岸部の里親登録は内陸部に比べて少ないのも現状。

  今後は保護者がいて特に保護の必要がない児童であっても、親が就職活動や住居の確保のために一時的に預かってほしいケースが出てくることが想定される。全国里親会では日本財団が経費を負担し特例的に里親にこうした児童を預けることができるよう検討している。

  高橋会長は「災害に遭った恐怖やフラッシュバックをいかに抑えるか。心が落ち着くまでここにいれば安全安心だよということを分かってもらい、安全安心感を与えることが大切。大人の都合ではなく、子どもの気持ちを第一に考えていかないと」と話す。

  里親登録の問い合わせは県社会福祉協議会内の県里親会事務局(電話637-4466)へ。


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