盛岡タイムス Web News 2011年 5月 4日 (水)

       

■ 〈潮風宅配便〜三陸の津波被災現地から〉42 草野悟 高田の友人をしのぶ

     
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  4月24日、友人の伊藤光高さんのお葬式でした。天気がよく風の強い日でした。気仙川にはまだがれきが残り、そこに桜が咲いていました。

  「カタクリが咲いたら遊びに来て」と言ってました。約束どおり満開のカタクリを見てきましたよ。伊藤光高さんの部下で市長の秘書をしていた佐々木勇人君はまだ見つかっていません。勇人君の同僚の村上君から「草野さん、釣りの腕を上げたので勝負してください」と2月に電話がきました。「じゃあ連休明けあたりがいいね」と約束しましたが、勇人君も村上君も出てこないのでは約束は果たせません。どこに隠れているのか、涙が出てきてしまいます。

  お葬式に高齢のおばあさんはお寺に来ませんでした。家で留守番だそうです。家に寄りましたら、おばあさんが穏やかな顔で出迎えてくれました。

  お葬式ができて幾分ほっとしたのかもしれません。この日はおばあちゃんの作った紫蘇漬けで朝ごはんを食べてから出てきました。「草野さんがうまい、うまいというもんだから、おばあさんが喜んで」と光高さんの声が聞こえます。

  あわただしく過ぎた50日。奥さんの敏子さん、お子さんたちの心痛は大津波の何倍もの高さです。同じように深い悲しみの中にいる方々がたくさんいます。とても「頑張って」とは言えません。

  笑顔が出てくるようになっても、心の中は濁流のままです。がれきの撤去と心は違います。仮設住宅に移ってから、さらにひどい孤独感に襲われた神戸大震災の人たちがいました。動ける私たちが行政と力を合わせ、そうした細やかな部分まで見逃さないよう「気配り」「心配り」ができる「岩手の力」を創っていきたいと願っています。合掌。
(岩手県中核観光コーディネーター)

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