盛岡タイムス Web News 2011年 5月 15日 (日)

       

■ 〈東日本大震災〉復興と再生の願い乗せ 岩手競馬、全国の支援を受けて開幕

     
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  騎手を代表して決意表明する菅原勲騎手(盛岡競馬場パドック)
 
  震災で施設に大きな被害を受けた岩手競馬は14日、予定よりひと月半遅れでシーズンの開幕を迎えた。一時は開催自体が危ぶまれた中で、地方競馬全国協会やJRAなどから支援のめどが立ち、盛岡競馬場単体開催で開幕にこぎつけた。入場者の入りは前年の盛岡開催初日を下回り、発売額も届かなかった。しかし、開幕初日には全国から報道陣が集まった。開幕することが伝わって、岩手を離れた馬も厩舎に戻り始めている。今後、本県復興に向けて寄せられている全国の力をどこまで取り込めるかが、岩手競馬そのものの再生のかぎを握る。

 開幕セレモニーは小雨の中、盛岡競馬場パドック(下見所)で行われた。騎手や職員など関係者が横に整列して、来場者と一緒に1分間の黙とうをささげた。

  菅原勲騎手が「被害の大きさに言葉を失った。しかし被災地の子どもたちの笑顔に勇気をもらった。私たち騎手は、馬と騎手が心を一つにしてゴールを目指す姿を県民や全国の皆さんにお届けし、岩手の復興に向かって元気や希望につながるよう頑張る」と、代表して決意を表明した。その後、副管理者の谷藤盛岡市長が開幕を宣言した。

  騎手は「頑張ろう東北」と刷り込まれた勝負服を身につける。左腕には黒の喪章をつけた。16日までの3日間は、津波の被害を受けた3県の市町村名を冠につけた「がんばろうレース」が組まれ、対象市町村にそれぞれ義援金10万円を送る。

  ■「始まってくれてうれしい」

  開催自体が危ぶまれ、開幕も遅れたことで厩舎からは多くの馬が他の競馬場に移っている。厩舎によっては前年の半分に満たないところも出ている。それぞれが厳しい経営環境の中で、ようやく迎えた開幕だった。

  桜田浩三調教師は「われわれは3月の開始を想定して馬(の体)を仕上げてきた。なかなか開催が決まらなくて馬主も困ったろう。始まったことが伝われば出ていった馬も戻ってくる」と話す。

  岩手競馬に2頭を所有しているという奥州市の馬主は「開催がなければ馬をただ預けているだけ。この間だけで30万円ぐらいは経費がかかった。始まってくれてよかった」と話す。この道35年になるというベテラン厩務員の男性は「ずっと不安だったけど、始まってくれてうれしい」と、喜びをみせた。

  観覧スタンド内では旧知の顔に出会ってあいさつを交わす光景がそこかしこでみられた。しかし「津波で息子が死んだ」と話す馬主もいて、例年のような高揚感とはやや異なる。多くのファンは「待ち遠しかった」「始まってよかった」と、開幕を喜びながらもやはり言葉は控え目だった。

  本場の入場者数は3402人で前年の盛岡開催開幕時の98・8%だった。売り上げは9865万4100円。前年の86・4%だった。取材にはメディア20数社が訪れた。

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