盛岡タイムス Web News 2011年 5月 22日 (日)

       

■ 〈詩人のポスト〜あなたへの手紙〉齊藤駿一郎 かっちゃと僕

   かっちゃと僕

         齊藤駿一郎(北上市在住)

 
「だっこしてかっちゃ」
「この忙しいどぎなにしたど」
「だってだっこしでぇもん」
「あやや小学校二年しぇになっても
だっこだってがこのすとんけ」
 
「詩を書かねばなんね
だっこの詩をかかねばなんね
だからだっこしててば…」
 
「まんまの支度しねばなんねし いそがしがらよ」
「かっちゃだっこしてければえどもな」
(ああそういえば下の娘がうまれてから
息子はされぇかまねできてしもった)
 
どれ来(こ)
息子はかっちゃの胸にしがみつく
「かっちゃギュッとして」
(かっちゃは息子をギュッとする)
かっちゃは子守唄を歌った
家のなかをぐるぐるまわりながら子守唄をうたった
かっちゃ なみだこながしながらうたった
 
息子は詩を書いた
その詩はかっちゃに「秘密」といって見せなかった
 
夜 息子の寝顔を見ながら
かっちゃは枕もとの詩をこっそり覗いた
そのおしまいに
「まただっこの宿題があればいいなぁ」と書いて…
 
かっちゃは一人ごとを言った
「宿題がなくてもいつでもギュッとすっからな…」


本ページ掲載内容の無断転載を禁じます
ホームページに関するお問い合わせ、取材に関する情報は
E-Mail:hensyuu@morioka-times.com
盛岡タイムス宛てにお願いします