盛岡タイムス Web News 2011年 5月 27日 (金)

       

■ 〈不屈の意志〉五日市塗装工業・晴山祐一社長に聞く 社員全員集め炊き出し

     
  晴山祐一五日市塗装工業社長  
 
晴山祐一五日市塗装工業社長
 
  五日市塗装工業(盛岡市みたけ)の晴山祐一社長(46)は、日本塗装工業会岩手県支部長、県中小企業家同友会盛岡支部長を務める。震災時には材料の確保に困難を来し、在庫のやりくりに苦心した。だが、1番大事だったのは社員の気持ちという。地震後、社員全員を会社に集め、一致団結してこの難局を乗り越えようと呼びかけた。沿岸部の支援に奔走し、現在は組織力の強化と異分野との連携に取り組もうとしている。被災後の動きや今後の課題などを聞いた。
(大森不二夫)

  -大震災による貴社への被害や影響は。

  晴山 いきなりの地震で大変驚いた。電話も携帯も通じない。一体何が起こったのか。世の中がどうなっているのか全く分からない。少しパニック状態になったが、社員や仕事現場の状態も含め、情報収集に駆けずり回った。的確に状況判断して、方向性を出さなければと痛感した。社員には、分かったことをきちっと伝えた。震災の日も、施工中の仕事があった。安全確認のためにお客の様子を見に行った。仕事は途中で中断した。しかし、そのままの状態では戻れない。お客に迷惑を掛けられない。壁がはげたり、塗ったばかりの状態の現場はそのまま放っておけない。各現場では最小限の手当てをした。応急措置だったが施主にちゃんと状況を説明した。
  停電も困ったが、現場に行く車が動かないのが困った。ガソリンが入れられない。確保に努めたが難しかった。電気なし、ガソリンはなしで、それから1週間、仕事ができなかった。

  -その間、どうしたのか。

  晴山 大変な状況になった。さあ、どうしようか。思案したが、自宅待機をすることはしなかった。ほかではほとんど自宅待機を取ったようだが。しかし当社ではしないことにした。社員全員に会社に来てもらった。幸い会社の近くに住む社員が多く、徒歩や自転車などで来てくれた。ただ仕事の時間を短縮はした。夕方になる前、明るいうちに家に帰した。みんな会社に来たが、そんなにする仕事はない。現場では働けないのだから。社内の片付けや掃除、ミーティングなどをした程度。みんなで一緒に行動する、話し合ったりすることが大事だと思った。一人でいれば不安になる。独身者もいるので孤立させることが一番いけないと思った。みんなで炊き出しをしてご飯を食べた。鍋があり、ガスはあった。みんなで作り、みんなで食べ、みんなで片付けた。沿岸部出身の社員からは、被災地に行きボランティアをしたいと言われた。頑張れと背中を押してやった。

  -塗装の本業は。

  晴山 なにせ物流が動かない。メーカーから何がどのくらい入ってくるのか分からない。そのため必要な塗料を赤、青、白など数種類に絞り、手当てすることにした。色合わせをして、さまざまな色を作るなど工夫した。3月は目標の半分しか稼げなかった。4月も当社も含め市内の業者はほとんど動いていない状態。資材もなかなか入らなかった。発注を手控えたり延期する動きばかり。お客がいない状態。大変な状態だった。5月に入り少しずつは動き出したが厳しい状態は続いている。業種により忙しい所もあるようだが、塗装はまだ。建築では塗装業は最後の仕上げの仕事になる。

  -沿岸部の支援は。

  晴山 県支部会員24社のうち沿岸部が6社を占める。事務所が流されたなど、どの会社も被害が深刻だ。工場ごと流された会社もある。親戚の家にやっかいになっている所もありなかなか復興までには至っていない。再起に向けた企業も出てはいる。5月上旬に沿岸に支援に行った。洗浄や臭い除去などの仕事の要請がある。がれきなどから異臭が出始めている。これから夏場に向かい、あちこちで異臭が発生しよう。異臭の除去も大事な仕事。道のあちこちが陥没し海水が溜まっている。車がそこを走ればさびつく。車の洗浄も大事な仕事となる。現地に行けば新たな仕事が見えてくる。雇用にもつながる。県内、全国の組合組織の力を生かし沿岸部の復興を支援したい。同友会は異業種で構成されており、異業種間で連携すれば新たな仕事はきっと発生するはず。民間が力を合わせ、仕事、そして雇用を創出したい。当社は毎年、欠かさず雇用している。今年も雇用する。まず自分の会社が少しでもいいから頑張ることだろう。内定取り消しなどをしないことだ。


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