盛岡タイムス Web News 2011年 6月 1日 (水)

       

■ 〈東日本大震災〉山田町長が盛岡の避難所へ 復興計画に意見聞く

     
  沼崎喜一町長の説明を聞く山田町からの一時避難者  
 
沼崎喜一町長の説明を聞く山田町からの一時避難者
 
  山田町は復興計画の策定にあたって住民の意見を反映させるための住民懇談会を5月27日から開催している。住民の一時避難先となっている盛岡市と雫石町の宿泊施設4カ所にも31日、沼崎喜一町長らが訪れた。住民からは高台への移転の必要性や内陸避難者への情報提供不足などの意見が出された。

  ■町長が経過説明

  懇談会の冒頭、沼崎町長は「大津波による被災から81日が経過。この間、避難所での不自由な生活を強いられている皆さんに改めてお見舞いする。がれき処理は山田の中心部はほとんど撤去された。地域差があり、周辺部はまだがれきが残されているところがあるが、引き続き1日でも早くきれいになるように作業を進めたい」とあいさつした。
  山田町の復興計画策定の基本理念は▽津波から命を守るまちづくり▽産業の早期復旧と再生・発展▽住民が主体となった地域づくり|の3本柱。約10年で復旧期、再生期、発展期で到達する町の姿を示す。今回の懇談会での意見を踏まえ、月末までに復興ビジョンを策定し、9月末をめどに計画の行政素案を作成。年内に復興計画を策定する。
  津波防災まちづくりの基本型として町が示したモデルは▽大津波でも浸水しない安全地帯に移転する「回避型」▽へさき形に防災施設などの配置をして津波エネルギーを逃がし市街地を守る「分散型」▽第一線の防災施設に加え道路や鉄道などのかさ上げで津波エネルギーを減衰させて壊滅的被害を防ぐ「抑制型」。

  ■高台移転を望む声

  住民からは「家が残っても人が死ねば仕方がない。生活圏を危険地帯から退かさなければ駄目。高台の方に作るとか、極端な話、内陸みたいに津波を考えなくていいようにしてほしい」「堤防に頼ることはやめた方がいい」と高台移転を求める声が多数出た。
  沼崎町長は「これから先、山田の町民に津波の犠牲者を1人も出さないことを原点にまちづくりを進めたい。地域で条件が違い、この地域ではこうやった方がいい、こっちではこうやった方がいいという意見を皆さんから出してもらいたい」と話した。

  ■家を早く建てたい住民も

  一方、住宅建設を考えている住民からは「浸水地域の居住は自粛ということだが、浸水地域全部が自粛なのか」「すぐに家を建てたい人は、浸水地域でなければ建ててもいいのか」などの質問が出た。現段階で町が法的に建設を止める手段はない。明確に町づくりの線が引ける状態ではなく、町としてもあくまでも自粛を求めることにとどまっている。
  町総務課復興推進室の沼崎弘明室長は「今回を機会に避難路にしても真っすぐにひきたいと思っている。居宅がぽつぽつとあるとなかなか計画が立てづらい。基本として考えているのは、今回の津波で水がいったところはとりあえず自粛してほしい。もう少し待ってほしい」と理解を求めた。
  現在、山田町からは盛岡市と雫石町の宿泊施設に約300人が一時避難しているほか、知人や親戚宅、賃貸アパートなどで生活を送る住民も多くいる。懇談会ではこうした内陸避難者に対して仮設住宅や生活支援などの情報提供が不足しているという指摘もあった。

  ■犠牲者出さないまちに

  町内外19カ所の住民懇談会を終えた沼崎町長は「地域ごとの濃淡は仕方がないが、それぞれ地域の皆さんが今回の大震災を振り返り、やっぱり今回のような犠牲者を出すことを繰り返してはならない点で一致している。新しい町づくりに向け、高台移転などを含め従来の発想ではない町づくりをしていこうという気合を感じた」と話した。

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