盛岡タイムス Web News 2011年 6月 23日 (木)

       

■ 〈お父さん絵本です〉360 岩橋淳 おひさまパン

     
   
     
  雪と氷と風に覆われた、動物の国。住人たちは家の中にとじこもり、気持ちもふさぎ込んでしまっています。おひさまが沈んだまま、もう長いこと顔を出していないのです。

  おひさまは、古の神話のように何か機嫌を損ねて隠れてしまったものなのか、あるいは北の国のならいとて、長い眠りについているものなのか、ここでは触れられてはいません。でも、動物の国の住人たちが何か悪いことをした訳ではなさそうなことは、見てとれます。

  凍えた街の、一軒のパン屋さん(ここの主人は、犬です)。主人は、恋しいおひさまを偲んで、パンを焼くことを思い立ちます。

  特別な材料を使った訳ではありません。けれど、おひさまを思う気持ちには、それ以上のエッセンスが込められていたことは間違いなかったのでしょう、オーブンの中で膨らんだおひさまパンは、楽園のかぐわしさと、輝きを放っていたのです。

  焼き上がったおひさまパンは、町中の動物たちに振る舞われました。そしてその温かさは、皆が忘れていた心の潤いも思い出させてくれ、さらに、奇蹟がおこります……!

  照る日、曇る日。すべての恵みの親・おひさまとて、万能ではありません。でも、希望を持つこと、信じて待つこと、行動すること。

  甘くてふわふわ、おひさまパンのレシピつきです。

  【今週の衛保温】『おひさまパン』E・クレヴェン/作・絵、江國香織/訳、金の星社/刊、1365円、(2001年)。


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