盛岡タイムス Web News 2011年 9月 11日 (日)

       

■ 震災半年、被災地で声「働ける場を」 生活再建、浮上する課題

 東日本大震災津波の発生から11日で半年を迎えた。被災地はがれきの撤去が進み、更地も目立つようになった。沿岸市町村では、それぞれ復興計画の策定に取り組んでいるが、膨大な事業費や法制度の見直し、住民の合意形成などクリアしなければならない課題は多く、新しいまちづくりが本格化するまでには、まだ時間がかかりそうだ。被災者は仮設住宅などへ入居し、県内避難所は8月いっぱいで、ほぼ閉鎖された。被災地支援は被災者の本格的な生活再建や地場産業の再生など、まちの復興へ向けたステージに移る。

 県の9日現在のまとめによると、死者は4654人、行方不明者は1692人(うち死亡届け受理件数は1247人)。家屋の倒壊は2万4682棟。

  県内の避難者は3月13日に最大5万4429人、避難所は同19日に最大399カ所に上ったが、仮設住宅などへの転居がほぼ完了した。応急仮設住宅は予定の1万3984戸が完成し8月26日現在で約9割に当たる1万2683戸が入居。県が借り上げる民間アパートなど賃貸住宅には3438戸、雇用促進住宅には836戸、公営住宅には176戸が入居した。

  仮設住宅へは、同じ地域の住民ができるだけまとまって入居できるよう配慮されたものの、多くはくじ引きによって決定。複数の地域の人が集まり、一からコミュニティーを作り直さなければならない団地が少なくない。近所に住む人同士が顔見知りとなり、助け合える関係が整うまで自治会運営のバックアップなど、きめ細かな支援が必要だ。店舗や医療機関が遠く離れた場所にしかない仮設住宅団地が多く、車を持たない高齢者らの足の確保も課題になっている。

  被災者の自立を促す上で最も重要となるのが安定した収入を得るための雇用の場の確保。職場が流出して失業した被災者の多くが、10月から11月にかけ雇用保険の給付期限を迎える。水産業など基幹産業の復興に向けた取り組みも地域によって差があり、安心して働ける場を望む声は強い。

  県によると、震災後に増加した求職者は約4万6千人。これに対して産業振興施策と雇用対策基金を活用した緊急雇用創出事業、ふるさと雇用再生特別基金事業に合わせて約290億円を予算計上し、約1万4千人の雇用創出を目指している。うち1万人は震災によって増加した求人に対応するもので、これまでに約7千人分の受け皿を事業化、約4千人の雇用を達成した。企業誘致や就業を支援する相談活動などにも継続して取り組むとしている。

  県の津軽石昭彦特命参事兼雇用対策課長は「雇用保険の給付期限が近づけば、職を求める人はさらに増える。仮設住宅での生活支援サービスなど被災地で人を雇えるものは、雇用対策基金などを活用し『仕事』に転換してほしい」と市町村の協力を求める。 

  ただ、こうした国・県の制度を活用した緊急雇用対策は一過性のもの。地場産業の再生を促す支援が欠かせず、ファンドを活用した二重債務問題の対策などに一刻も早く取り組む必要がある。

  県は2018年度までを計画期間とする東日本大震災津波復興計画を策定した。沿岸市町村でも、それぞれ復興計画の策定が進むが、財源の裏付けがなく、実現までの道筋が見いだせずにいる。被災者からは「ここに残るか、ほかに移るか。もう、ぎりぎりの選択の時期」とあせりの声も。

  人口流失に歯止めをかけるためにも、具体的に土地利用の計画を示し、産業再生のビジョンを実行に移さなければならない。

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