盛岡タイムス Web News 2011年 12月 9日 (金)

       

■ 〈潮風宅配便〉77 草野悟 宮古の友人たちと

     
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  宮古の「うちだて」という店は、三陸鉄道を勝手に応援する会の宮古支部になっており、連日会員やその友人たちが集まってきます。横を向いているのはテレビ番組に釘付けだからです。

  巨大津波特集で「あ、ここ、あん時は逃げたね」とか「寒くてさあ、俺なんか水引いたけどまだ1b以上残っていたから、飛び込んで岸まで泳いだなあ」とか、当時を思いだしています。

  宮古市役所の前の電信柱につかまっていた映像で有名になった会員も焼酎を飲んでいます。宮古支部の大半が何らかの被災を受けています。8カ月以上経過して、ようやく振り返ることができるようになりました。言葉にもできない辛い日々だったと思います。集まったメンバーは当然無事でしたが、多くの親戚、友人、知人を亡くしています。

  「がんばれって聞くと、頑張ってるってば、怒鳴ってしまう」と。よく分かります。この日の話題は巨額な工事費です。第3次補正予算が通ったので、いまから巨大な公共工事が始まります。全国のゼネコンや工事関係者、研究機関の偉い人たちがどっと押し寄せます。その感想を言い合っていました。

  「たくさん来てくれるのは工事業者だって歓迎だよ。町がにぎやかになるしね」「被災者に寄り添って、なんか言わなければいいのに。どうせ1回ぐらいしか来てない政治家なんだから」とか、「偉い先生の復興提案の一言で何百億っていう造成費が決まってしまうんだからね」とか、ここには書けない地元、被災者同士の貴重な情報が飛び交います。

  そんなわいわいガヤガヤですが、この方たちは当会の被災地活動には積極的に参加してくれます。いまでも「漁業者応援募金」のボックスに寄付金を入れてから帰ります。

  宮古支部のメンバーの大半が愚痴を言いません。この方々は「こうすれば楽しい町になる」とか「こんなことをして仮設に住む人たちと神社のお祭りを復活させたい」とか、常に前向きです。そして誰もが心配していることは、「冬になってきたから」と仮設仲間への配慮です。気持ちも部屋も温かく過ごせるよう祈りたいですね。

(岩手県中核観光コーディネーター)

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