盛岡タイムス Web News 2011年 12月 13日 (火)

       

■  廃用牛競りが再開 価格暴落、嘆く農家

     
  市場再開後、初めて競りにかけられる成牛  
 
市場再開後、初めて競りにかけられる成牛
 
  福島原発事故の影響で8月から閉鎖されていた県内の成牛の競りが12日から再開した。雫石町七ツ森の全農県本部中央家畜市場に、出荷できず滞留していた廃用牛約200頭が出場した。全戸検査済み農家の牛、牛肉中の放射性セシウムが50ベクレル以下と推定される牛などが上場され、安全性には折り紙が付いていたが、再開前に比べて価格は大幅に下落。畜産農家から嘆きの声が聞かれた。

  市場には早朝から牛を積んだトラックが乗り付け、子牛の競りの終了後、成牛が出場し、1頭ごとに競り売りされた。電光掲示板に表示される落札価格は再開前の数分の1の牛が多く、上場した畜産家を落胆させた。

  同市場によると競り売り後の平均価格は約6万6800円で、前回の7月25日の平均約10万9200円に比べて4万円超下落した。県内への放射線の影響が明らかになった7月の時点で暴落していたため、それ以前に比べると10万円超下がった。

  再開前に坂下憲悦家畜課長は「いくらで売れるか分からないが、かなり厳しいと思う。売れない物もあるかもしれない。滞留していた分の初めてなので頭数は多い。やってみないと分からない」と話し、動向を測りかねていた。

  盛岡市の岩手中央農協太田事務所の工藤克彦さんは「出荷できなくて大変だった。無駄に扱っている部分が多く、8月に市場が止まってからの餌代がかかった」と話した。東京電力の補償問題に関連して「廃用牛の請求については、これから市場に出せば金額が出るが、いくらになるか予想がつかない」と話した。

  矢巾町の岩手中央農協矢巾支所の藤原雅樹さんは「これまで滞留して大変だった。回転が悪くて進まないし、提出する書類ばかり。普段より三つ四つ多いから、事務処理の仕事がとても多くなった」と話し、かかった余計な労力を惜しんでいた。

  競りが始まると、これまで6、7万はしていた牛が、1万から3万程度で落札され、そこここから「運び賃にもならね」と不満の声が聞かれた。特に肉付きの良い牛は十数万まで高騰したが、買い手は慎重で、多くの牛の価格が低迷した。

  買い手で来場した奥州市の佐々木健康さんは、「良い和牛が出れば競ってみたいが、まだ買う気はない。ちょっと前まで20万円とか13、4万していた牛がこんなに安いとは」と驚いていた。

  金ケ崎町のワイケイファームの山口秀雄さんは「これでは2分の1から4分の1のレベル。対策の遅さによるもので、言葉にならない。こういう状況が続くと経営自体が危うい。全頭検査をきちんとやって、風評被害を払拭(ふっしょく)し、市場の流通を元に戻してほしい」と話していた。


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