盛岡タイムス Web News 2013年  7月  13日 (土)

       

■  ILCが参院選の火種に 自民、与党の強み 「利害誘導」と他陣営反発


  参院選の激戦が繰り広げられる中、国際リニアコライダー(ILC)の北上山地への誘致実現をめぐり、自民党が政権与党の強みを生かし揺さぶりをかけている。10日は下村博文文部科学大臣と村井嘉浩宮城県知事を岩手選挙区候補の応援に投入。候補地決定は「専門家の判断による」としつつも、与党の政治的判断の影響をにおわせた。別陣営の幹部らは「典型的な利害誘導」などと反発を強めている。

  「熱意は十分に分かりました」。盛岡市内のホテルで県国際リニアコライダー推進協議会の元持勝利会長から、ILC誘致を求める要望書を受け取った下村大臣は、こう語り、協議会幹部と夕食を共にした。

  出席者によると下村大臣は「国内候補地は専門家の意見を踏まえ、公平に判断する」と語る一方、自民党から出馬している新人候補を「よろしく」と念を押すのも忘れなかった。「選挙の応援で来ているのだから、そういうことでしょう」。協議会幹部は淡々と受け止める。

  このあと開かれた候補の個人演説会で、下村大臣は「ILCは総額で1兆円ぐらいかかる国際プロジェクト。岩手が全く変わってしまうほどの経済波及効果がある」と力説。「選挙につながるとは言えないが、最終的誘致には政治的な判断がある」と話した。

  村井知事も同じ日、奥州市や盛岡市で自民党候補の応援マイクを握った。九州の背振山地とILCの国内候補地を争っている状況を踏まえ「甲乙付けがたいとなったとき、最終的には政府、政治家が決める。県民が自民党に対して、どんな思いを持っているのか、それが大きな判断基準になる」と力を込めた。

  隣県の知事が特定候補の応援に入るのも異例だが、ILCと選挙をからめて、露骨に与党を持ち上げるのは、さらに異例。

  生活の党県連の佐々木順一幹事長は11日の自身のブログで「典型的な利害誘導であり、脅しの発言」「岩手県民は、こうした脅しの発言に惑わされてはいけないし、また、惑わされる県民ではない」と反発。

  地域政党いわての飯沢匡代表も同日のブログで「宮城県知事は東北の純粋な思いや願いを全部風呂敷にまとめて、ライバルの懐に自ら入ってしまったようなもので、決して私は容認しないし、全く間違ったメッセージであるから訂正を求めたい」と批判した。

  生活の党の候補を全面支援する達増知事は9日の定例会見で「立地場所の決定に選挙結果は関係ない。研究者の決定を政府が実行すること。まともな政党ならどこが政権を取っても、しっかり進めていくのではないか」と述べるにとどめている。

  ILCは東日本大震災からの復興を押し進め、東北の未来を創造する一大プロジェクトと期待が大きい。各陣営が公約に掲げることはあっても、争う余地はないとみられていたが、激しい選挙戦で新たな火種となった。

  専門家によるILC立地評価会議は北上山地と背振山地のどちらを国内候補地とするか7月末にも結論をまとめる予定。文科省の要請でILC国内誘致の是非を審議している日本学術会議の検討委員会は、8月中にも答申する意見をまとめるとしている。


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