盛岡タイムス Web News 2013年  9月  26日 (木)

       

■  〈星めぐり〉338 八木淳一郎 宵の明星と秋の空


 日暮れが日に日に早くなってきましたが、夕方のまだ青空が残る西の空に目をやりますと、20度くらいの高さに明るく輝く星に気付くことでしょう。宵の明星とも呼ばれる金星です。明るさはマイナス4等級。これは1等星の約100倍の明るさです。ちなみに、昔の人々は肉眼で見える星を1等星から6等星に分けました。これがまたちょうど1等星は6等星の100倍の明るさで、1等級ごとに明るさは2・5倍違ったものとなっています。人の感覚というものがいかに鋭いものであるか驚かされます。

  さて、金星はこれから年の暮れに向かってもう少し高さを増していきますが、それでもせいぜい25度くらいまで。今シーズンは例年と違ってあまり高くならず、ちょっぴり寂しい気がします。なにしろ昨年は40度を超す高さまで上がりました。これは地球や金星の軌道や太陽との位置関係から生じるものであって仕方ありません。異変とは言っても豪雨や竜巻、台風の被害などの気象現象とは全く関わりのないことですが、空の現象という意味では同じように関心を持ちたいものです。同じ「空」でも政治や行政が「絵空事」や「上の空」といったものにならなければいいのですが。人の世は自然界以上に想定外だらけです。

  夜更けて秋の星座が舞台狭しと並んでいますが、寂しい秋にふさわしく星空もまた華やかさに欠けるものがあります。1等星といえば、みなみのうお座のフォーマルハウトが低空にひとりポツンと。その名も「秋の一つ星」―とくれば、「枯葉」の曲が聞こえてきそうなムードではありませんか。

  宵の明星の金星は、春の星座であるてんびん座からさそり座、いて座と夏の星座に移ってきますが、いずれ早い時間に沈んでしまいますし、あとには虫の声ばかり…。ところで他の惑星はどうでしょうか。天王星や海王星が秋の星座の真っただ中にあって望遠鏡での訪れを待ちわびています。そして、夜半を過ぎますと、いよいよ冬の星座たちが登場し、ふたご座にある木星が華やかな姿を見せてくれるようになります。天、地、そして人の世の、移ろいの何と早いことでしょう。
(盛岡天文同好会会員)


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