盛岡タイムス Web News 2013年  10月  4日 (木)

       

■  温泉余剰熱の利活用検討 雫石町の網張地域 発電や施設の暖房に


     
  網張元湯の温泉余剰熱の利活用について検討する網張地域温泉余剰熱利用協議会  
  網張元湯の温泉余剰熱の利活用について検討する網張地域温泉余剰熱利用協議会
 

 雫石町が所有する網張元湯の温泉余剰熱の利活用を検討するプロジェクトが本格的に始まった。第1回網張地域温泉余剰熱利用協議会(会長・三輪亨網張高原温泉郷利用協議会長)が2日、町中央公民館で開かれた。町と地熱エンジニアリングが進める同プロジェクトは、老朽化のため同町が補修作業と代替井掘削を検討している網張元湯の源泉について、余剰熱を調査した上で発電や宿泊施設の暖房、ハウスなどに有効活用していく。

  網張地域温泉余剰熱利用協議会は、網張地区の宿泊施設、牧野農協、観光協会、商工会、新いわて農協、休暇村岩手網張温泉、雫石熱水花卉(かき)組合、町などの関係者で構成。アドバイザーとして岩手大学教育学部の土井宣夫教授、オブザーバーとして環境省東北地方環境事務所盛岡自然保護官事務所、県環境生活部が参加する。

  同日の協議会ではプロジェクトの方針として▽現在源泉を利用する休暇村岩手網張温泉およびありね山荘の温泉利用が最優先▽資源量の調査・評価を行い、温泉利用に十分な蒸気があることを確認した後の余剰蒸気を発電に利用する▽事業地域は国立公園内・保安林内にあるので、景観、山林保全などの留意事項に配慮し関係各所と相談、許可を得て事業を進める―などが示された。

  発電事業のコンセプト案は、網張温泉の余剰として見込まれる1時間あたり10dの蒸気をパイプラインで輸送し、1千`h級の発電を目指す。発電した電気は、近くの電柱を利用して送電することを見込む。発電後の排水でヒ素などが環境基準を上回る場合には還元井を設ける。温泉利用や発電後のさらなる余剰熱は、休暇村岩手網張温泉やありね山荘、網張ビジターセンターなどの施設の暖房、ハウス栽培などへの利用を検討していく。

  温泉余剰熱発電と熱利用の検討には@東北経済産業局の地熱開発理解促進関連事業支援補助金A石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の地熱資源開発調査事業費助成交付事業B環境省の地熱開発加速化支援・基盤整備事業―の補助金を活用する。いずれも補助率は100%で、既に@、Aは採択済み、Bについては提案書を提出し審査中。

  一方で、網張元湯周辺は国立公園第1種特別地域のために調査井掘削ができず、地表調査による源泉周辺の構造を把握しなければならないこと、今回示された発電所建設予定候補地も同様に国立公園第3種特別地域にあることなど、今後の課題となる部分もある。

  工程表では、13年度は地質調査や電気探査などによる地表調査、作業道測量などの坑井調査、先行地域視察、14年度は作業道関係の許認可などを実施。15年度に予定する代替井噴気能力評価の結果を基に事業実施の最終的な判断を行い、事業を実施する際には17年度から蒸気設備、発電設備などの設計・建設に着手する。

  同協議会の三輪会長は「調査をして蒸気の量がはっきりしないことには分からない。第一義的には温泉の安定供給ということなので、それが充足されたのちの話になると思う。地域住民としては、いろいろな面で温泉熱が利用できればありがたい」と今後の進展に期待した。


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