盛岡タイムス Web News 2013年  10月  17日 (木)

       

■  〈岩手からのカナダ移住物語〉76 菊池孝育 BCSC報告書の内容A


 カナダ政府の対応(CANADIAN GOVERMENT TAKES ACTION)

  この項からは抄訳のみで記述する。

  カナダによる日本への宣戦布告に続いて、国外からの攻撃に対して、太平洋沿岸の安全確保のため、あらゆる防衛措置を直ちに講じることになった。加えて、われわれ(カナダ人)の生存のために、国内からの攻撃(日系人の蜂起)に対する必要な予防措置をも講じることになった。防衛地域内の敵国内通の疑いのある全ての人間(日系人)を移動させることであった。

  以上の対応は、われわれ(カナダ人)とは異なる文明の形態で訓練された個人あるいは団体によってなされる、許すべからざる残虐行為への当然の対応策であると考える。

  BC州の沿岸防衛地域は北のユーコンから、南は合衆国に至り、太平洋からカスケード山脈まで広がり、七万五千平方哩(?)以上の面積を持つ。

  凡(およ)そ一千哩の海岸線を警備することの困難性を考えると、このように広大で(警備に)脆弱な沿岸線があることによって、全体としてカナダの安全にとって、潜在的脅威になっていることが分かる。これは無視できないのである。


  以上から強制移動の論拠は次の諸点に尽きる。

  日本軍は海岸線から攻撃する可能性がある。そうなると、日系人は日本軍に呼応して国内で蜂起する可能性がある。従って全日系人を防衛地域内から排除する必要がある。カナダとカナダ人の安全のためである。

  何しろ彼ら(日本人)はわれわれとは異質の文明で教育されている。だからどんな残虐行為をするか、理解できない。

  日系人の排除は、カナダが生き残るための予防措置である。特にBC州の海岸線は広大である。くまなくパトロールすることは不可能だ。だから防衛地域から全日系人を排除することこそ、カナダの安全にとって必要不可欠な措置である。以上である。

  文言の中に、「われわれとは全く異なった形態の文明(a form of civilization so different from our own)」との一節がある。これに近い表現を9・11テロ事件直後のアメリカの新聞で見た記憶がある。異質の文明の形態で訓練されたテロリズムという意味の表現ではなかったか。時代は異なるけれども、当時の日本人は、昨今の中東のテロリストと同等に見られていたことは確かである。

  この報告書を読むにあたって、ALIENを「異国人」と訳した。辞書には「外国人」との訳が多い。しかし報告書では「異質の文化文明のもとにある外国人」、「相いれない外国人、敵あるいは敵に近い外国人」のニュアンスで使っている。それで筆者は異国人(敵性人)の訳を当てている。

  その一 強制収容(Internment)

  以上の危機を打開するために、次のような手段が取られた。つまり、危険分子、わずかでも破壊的傾向のある者は潜在的脅威と見なされ、RCMP(連邦警察)によって即座に逮捕され、捕虜収容所に拘禁された。


  RCMPはRoyal Canadian Mounted Policeの略である。もともと騎馬警察隊であった。

  Internment Campを「捕虜収容所」と訳した。ある一定の場所に拘禁され、逃亡を図れば、警備兵に射殺されるという点で、全く戦時中の捕虜収容所と同じであったからである。



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