盛岡タイムス Web News 2014年  4月  22日 (火)

       

■  備えと心構え普段から 地震や大雨なくせなくても災害減らすのは可能 盛岡地方気象台長 青木元さん(49)


     
  盛岡地方気象台長に就任した青木元さん  
  盛岡地方気象台長に就任した青木元さん
 

 盛岡地方気象台の新しい台長に青木元さん(49)が就任した。3月までは気象庁地震火山部管理課地震情報企画官。マスコミのカメラが何台も並ぶ記者会見場で、観測結果を発表し、質問に答えるのも仕事の一つだった。地震情報管理の中枢を担う立場から、被災地の第一線を守る気象台のトップに。「地震や津波、大雨はなくせなくても、災害を減らすことは可能。普段からの備えと心構えを」と力を込める。

  ―東日本大震災から丸3年が過ぎた

  あれだけ大きな地震だった。数年単位で余震は続く。沿岸部の人たちには特に注意してもらいたい。3・11の反省を生かし、気象庁は津波警報の出し方を改善した。津波が巨大と判断したときは数字ではなく「巨大な津波が来る」と発表する。すぐに逃げてほしい。

  ―2004年から2年間、仙台管区気象台技術部の地震情報官として勤務した

  当時は宮城県沖地震が30年以内に90%の確率で起こると言われていた。市民のための出前講座、市町村長の研修会、防災訓練会場など多くの場で防災への備えを訴えた。地震の怖さを伝え、被害を減らすために役立つ、というのは、まさに自分がやりたかった仕事。3・11の時も仙台時代に話したことが少しでも役に立っていてほしい、一人でも多く逃げてと思った。

  ―自然災害を減らすために強調したいことは

  一言で言えば「自助」。ぐらぐらと揺れたとき、消防署の人がたんすを押さえに来てくれるわけではない。とにかく揺れている最中は自分で身を守らないと。もし、今、地震があったら、どうするか。普段からちょっと意識することが大切。寝る部屋には大きな家具は置かない。街を歩くときも、このブロック塀が危険、このビルからはガラスや看板が落ちるかも、と考えてみる。災害発生時の数秒間に慌てず、行動することにつながる。

  ―本県は火山災害への備えも欠かせない

  3・11後、東北の火山は意外と静か。マグニチュード9クラスの海外の地震では、近くの火山の活動が活発化し、噴火する例が少なくなかった。今、静かでも活発になる可能性がないとは言えない。すぐそこにある山が「火山」と意識し、普段から備えてもらいたい。

  ―1998年の岩手山火山活動の活発化をきっかけに、県内ではINS(岩手ネットワークシステム)など防災に関する産学官の連携組織も作られた

  防災に関わる人たちが、顔の見える関係を作るのは、非常にいいこと。普段からの付き合いがあれば「ちょっと変だな」と思ったときに気軽に聞ける。INSには気象台としても引き続き協力したい。

  ―これまで地震に関するさまざまな調査研究に関わってきた

  地震の研究を志したのは小学生の時に見た映画「日本沈没」がきっかけ。地震や火山の被害からみんなを守りたい、被害を減らしたいと思った。気象研究所では、東海地震に備え、海底地震計の観測研究にも関わった。船で海底地震計を持って行き、海底に落とした後、回収する。海底地震計は、陸上では捉えられない小さな地震も分かり、震源の深さの精度が高まる。

  ―盛岡地方気象台長としての抱負を

  気象庁の仕事は、特に自然災害、被害を減らすというのが一番大きい。被害を減らすための情報を適切に発表していくことが大きな使命だ。

  (聞き手・馬場恵)

  【青木元】(あおき・げん) 1983年、気象大学校学生として入庁。福島、舞鶴、静岡、仙台、東京などで勤務。気象研究所主任研究官、気象庁総務部企画課危機管理企画調整官などを経て、13年同庁地震火山部管理課地震情報企画官、14年4月から現職。名古屋市生まれ、東京育ち。家族は妻と高校生から社会人までの子ども4人。仙台管区気象台に勤務以来、11年の単身赴任生活。趣味はテニス。「中古自動車も購入したので県内をあちこち見て回りたい」。


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