盛岡タイムス Web News 2015年  9月 1日 (火)

       

■  〈イタリアンチロルの昼下がり〉234回「夏の研究者たち」及川彩子


     
   
     

 真っ青な高原に、秋を匂わせる風の吹く8月のアジアゴ。今年は、イタリアも猛暑で、避暑地のアジアゴは連日にぎわいました。スーパーに隣接するわが家周辺は車がごった返し、車庫から車を出すのも一苦労。けれども、人があふれて活気付くとうれしくなります。

  そんな中、東京から、ここアジアゴ天文台に、主人の研究仲間である蜂巣泉先生、加藤万理子先生ご夫妻が、避暑を兼ねて、研究にいらっしゃいました。東京大教授の蜂巣先生、慶応大教授の万理子先生、お二人とも日本を代表する天文学者です[写真]。

  普段から世界各地に赴き、また数年前にはガリレオが教壇に立った、ベネチア近郊のパドバ大学に1年間の研究滞在されました。その経験からか、ここ天文台内の宿泊施設でも、買物・料理の自炊生活もお手の物。

  朝の高原散歩に始まり、じっくり研究と向き合う夏の日。時折、わが家で一緒にワインを傾けると、参加した欧州各地の研究会での思い出など話は尽きません。

  列車は遅れ、事務もスムーズに運ばないのがかつてのイタリア事情。「今回はそれらがあまりにも改善され、イタリアらしくないな」と笑う蜂巣先生。長年の活動維持の秘訣は、「発見の面白さ」に尽きると断言します。

  また、ご自身の著書「100億年を翔ける宇宙」をお持ち下さった万理子先生は、漫画から何から読みあさる本の虫。分かりやすい例えとアイデアには、物理音痴の私も大感激です。

  「昔の人々が考えた宇宙観は、現代の天文学から見ると間違っている。間違っていることをなぜ勉強するのだろうか、考えてみよう」と、学問の本質の問いかけから、「なぜ☆型の星はないのか」と好奇心そそる問題を投げかけては、「宇宙人をさがすことは、結局わたしたち自身を知ることでもある」と結ぶ万理子先生。

  国境を越え、宇宙の中の自己と向き合うお二人の言葉が力強く響きました。
 
 


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