盛岡タイムス Web News 2015年  9月 10日 (木)

       

■  ダークホースの脅威 低投票率の中 党派超えた地域事情 滝沢選挙区 紫波選挙区

 

     
   6日の祝賀会で高齢の支援者と握手するハクセル氏(右)  
   6日の祝賀会で高齢の支援者と握手するハクセル氏(右)
 

 滝沢選挙区(定数3)は、3議席目を誰が取るかが注目された。選挙区内で唯一の自民候補の柳村岩見氏(68)と、新人ながら喜多正敏氏の後継の柳村一氏(55)が、組織力の上で優勢と見られた。ほかの候補者は、2氏に比べ組織力などで不安材料を持ち、一進一退の攻防が考えられた。苦戦が予想されたハクセル美穂子氏(40)がトップ当選し、雫石町の1議席を守った。滝沢市では、得票で他を圧倒した候補者はいなかった。

  ハクセル氏は、ほかの候補者に比べ組織力が小さく、同じいわて県民クラブの大宮惇幸氏も支援せず。松嶺貴幸後援会長とハクセル氏が狙ったのは女性票とシニア層だった。

  ハクセル氏は選挙後、「ターゲットは、ママ友たちに考えてもらった。松嶺会長が目指す、若者中心の選挙に合わせてそのターゲットになった。無党派層と見られがちな若者が、スタッフとして動いたことが、シニア層に期待感をもたらした」と分析した。

  松原久美総括責任者は「前回県議選との大きな違いは、若者の盛り上がり。沿道を選車が走るだけで、外に人が出て来てくれる」と手応えを感じていた。

  若者は、政治色を出した選挙に拒否反応を示す。比較的若者や無党派層の支持が見込める滝沢市は、若いスタッフ中心に活動を展開。一方、雫石では、松原総括責任者ら後援会幹部が、従来通りの戦い方で陣営を支えた。

  優勢と見られたほかの陣営も、予想した以上に苦しい状況だった。

  柳村一氏の陣営が、最も警戒したのは高橋盛佳氏(71)だった。柳村一氏が受け継いだ同市西部、南部の地盤が高橋氏と重複。喜多氏は前哨戦から「県議は自治会の代表ではない」とたびたび説き、常に意識していた。

  同じ民主推薦候補者の高橋氏が、同市で得た票は3千票台。柳村一氏の大量得票にはつながらなかったが、支持基盤が重なる候補の存在が、選挙戦終盤の両陣営の引き締めにつながった。

  柳村岩見氏の陣営は、川前地区などで柳村一氏と地盤が重複。安保法案で党に対する批判も強まり、マイナスに影響した。自民系の元市議は「滝沢駅前など、川前地区に入りにくい雰囲気があった。苦戦と見る人もいた」と苦り切った。

  同市で地盤の重なる候補者が多い中、雫石町は昨年10月の町長選のしこりが残り、町内の勢力がまとまりを欠く「すき」があった。柳村岩見氏は自民党雫石支部と連動し、たびたび町内を遊説し党の結集を図った。

  結果的に、雫石町での得票は300票台。皮肉にも、滝沢市の候補者が動いたことで、県議を地元の雫石町から出さなければという危機感が醸成され、町内からの票の流出は最小限にとどまった。

  選挙戦終盤、町内の有権者は「滝沢市の方が人は多い。町内だけでも苦しいのに、どうして票を分けられるのか」と声を荒げた。自民系の元町議は「投票率100%でも滝沢市に及ばない。岩見さんが優勢なら、雫石町の票は分けられない」と苦しさを語った。

  流出を押しとどめた雫石町の得票は、ハクセル氏と幅秀哉氏(58)が各3千票台で、票を分け合う形となった。町内の票の結集を担った幅氏は厳しい展開を強いられた。

  ハクセル氏がトップ当選した滝沢選挙区は、無党派層が動いた選挙だった。しかし、滝沢市の投票率は43・25%で、前回から5・85ポイント下がり、選挙戦となった県内で最も低い。雫石町も58・33%で、前回から7・24ポイント低下。投票率低下に歯止めがかからない。選挙後、ある市議は「(投票が少なく)情けない。このまま投票率が低下すると、選挙が成り立たなくなる」と嘆いた。
(戸塚航祐)


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