盛岡タイムス Web News 2015年  10月 14日 (水)

       

■  歴史ある元湯で開業50年 雫石町長山 休暇村岩手網張温泉 利用者に好評 新サービス

 

     
  新装の休暇村宿舎(現在の網張温泉館)=網張温泉提供  
  新装の休暇村宿舎(現在の網張温泉館)=網張温泉提供
 

 雫石町長山小松倉の休暇村岩手網張温泉(中山広一総支配人)は、8月7日に開業50周年を迎えた。紅葉が見頃の岩手山を臨む本館玄関には、網張温泉と書かれた木製看板が掛けられている。1965(昭和40)年の開業当時、現在の網張ビジターセンターにあった同温泉本館は、これまで4回建て直して今の形になった。98年の岩手山の火山性地震と地殻変動、2011年の東日本大震災で客足が減り、存続の危機に立つこともあった。苦難を乗り越え、地元や県民から愛される同温泉の魅力を聞いた。

  現在の中山総支配人は、初代の村井正衛支配人から数えて13代目。同温泉に着任したのは99年で、岩手山の火山性地震から1年後だった。

  中山総支配人は「苦難の時代だったと記憶している。岩手山の入山規制で客足は減った。学校など教育旅行で訪れる団体も、『危険地域には行けない』と訪れなくなっていた」と当時をかみしめた。

  2011年の東日本大震災は、それ以上の苦難だった。「流通も止まり、電気も止まった。営業を4月30日まで停止せざるを得なかった。その後はしばらく客足が鈍っていたが、今は徐々にお客さまが戻り始めている」と振り返った。

     
   「網張温泉」と書かれた現在の同温泉本館前に立つ中村総支配人と鎌尾副支配人(左から)  
   「網張温泉」と書かれた現在の同温泉本館前に立つ中山総支配人と鎌尾副支配人(左から)
 


  同温泉は開業50年を迎えた今年、新たな試みを始めた。鎌尾宗慶副支配人は「温泉を『網張五湯』として、新たにPRした。絵馬(えま)を用意し、温泉に行くと各温泉で焼印を押してもらえる。網張温泉館そばの網張薬師神社に奉納することも、旅の思い出に持ち帰ることもできる。宿泊客には、バスタオルなどを入れた籠を渡し始めた。お客さまは、籠を下げて温泉を回るようで好評だ」と、手応えを感じている様子。

  鎌尾副支配人は「夏に問い合わせが殺到した秘湯・仙女の湯と、家族連れに人気の鹿追足湯は冬季閉鎖。だが、お客さまには冬の楽しみを提供したい」と言う。冬季限定宿泊プランでは、料理に五湯をイメージした五つの小鉢の竹籠を用意。南部かしわの鍋とともに味わえる。

  中山総支配人は「今までの伝統を大切にしながら、より多くのお客さまに来てもらえるよう一歩一歩進めていきたい。網張にしかない素材を大切にしていくのが基本路線。温泉であり、食材であり、おもてなしの心で次の50年につなげていきたい」と意気込む。

  同温泉の元湯は、1300年の歴史を持つ。盛岡藩の藩政時代は、山の神を信仰したため元湯の周囲に網を張り、一般人の入山を禁止。明治維新後に解放された。戦後に同温泉が開業し、今日に至る。


本ページ掲載内容の無断転載を禁じます
ホームページに関するお問い合わせ、取材に関する情報は
E-Mail:hensyuu@morioka-times.com
盛岡タイムス宛てにお願いします