盛岡タイムス Web News 2015年  10月 27日 (火)

       

■  〈おらがまちかど〉77 雫石町 長山地区 西山の住民が守る 岩手山神社拝殿脇の湧水 (戸塚航祐)


     
  心が洗われる湧水の前にかがむ笹田宮司と篠村さん(左から)  
  心が洗われる湧水の前にかがむ笹田宮司と篠村さん(左から)
 

 雫石町長山頭無野の岩手山神社には、多くの人が訪れる湧水がある。拝殿脇の手洗舎から湧き出る水は冬でも枯れない。「飲み続けたら病気が完治した」など健康に良いと評判が広がり、水くみの行列ができる日もあるという。湧水と神社は同町西山地区の住民が守っている。

  岩手山が雪化粧した10月末。氏子総代長の篠村幸造さん(79)は、気温2度の早朝午前6時前から同神社の境内を掃き清めていた。篠村さんら氏子は、3日に1回くらいのペースで境内を清掃。神社は神様が住む神域だからと、落ち葉拾いに余念がない。

  篠村さんは「宮城県や秋田県など遠くから人が来る。神社も水場もきれいで気持ちよくなければ」と竹ぼうきを走らせた。

  篠村さんによると、湧水は(きちんと保存すれば)1カ月以上飲める。盛岡市や山梨県の水質調査会社に調査を依頼したところ「非常に澄んだ良い水」と評価。万病に効くと、今では県内外から多くの人が訪れる。

  掃除中、ペットボトルを持った人が訪れた。町内の60代男性は「2年以上来ている。水道水の塩素っぽいのが気になる。最近は40gほどくむ」と湧水をくむ。篠村さんによると、軽トラックの荷台いっぱいにポリタンクを積んで来る人もいるという。

  同神社は盛岡藩の藩政時代、山岳信仰の対象だった岩手山を登る修験者がお参りをした由緒正しい神社。二ノ鳥居から続く参道脇には、岩手山につながる道の跡が残る。笹田武彦宮司(84)は「湧水の源泉は拝殿の奥。いくつも湧水が出ているが、神域のため普通の人は入ることができない」と社殿を囲む杉林を見つめた。

  現在は盛況な水場だが、篠村さんが氏子総代長になった当時は水量が少なかった。篠村さんが03年に新しい水源を見つけ、取水口を新たに作るなど整備。氏子有志で参道や境内に砂利を敷き、神社も守っている。

  篠村さんは「一ノ鳥居や建物も、私や西山地区の氏子が寄付と賽銭(さいせん)で直した。雪が降れば自分たちで雪かきをする。今の若者は神様を信じない人も多いが、きれいな水と神社を次の時代に受け継いでいく」と参道先の拝殿を眺めた。 (戸塚航祐)


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