盛岡タイムス Web News 2015年  11月 24日 (火)

       

■  〈おらがまちかど〉80 盛岡市 月が丘地区 手縫いに元気と勇気込め 岩手ホスピスの会の後藤ヒサ子さん 最年長のボランティア


     
   患者の使い心地を気に掛けながら、タオル帽子を縫う後藤ヒサ子さん  
   患者の使い心地を気に掛けながら、タオル帽子を縫う後藤ヒサ子さん  

 岩手ホスピスの会会員の後藤ヒサ子さん(86)=盛岡市月が丘1丁目=は、同会が取り組む、がん患者のための「タオル帽子」作成に協力する最年長のボランティア。毎月、10〜15個ほどを縫い上げ、同会に寄付。作り方の講習会では先生を務める。岩手医科大学附属病院内の「がんサロン」にも、タオル帽子を簡略化した「ぺっこ帽子」を定期的に寄付し、闘病中の患者を応援している。

  ヒサ子さんが岩手ホスピスの会と出合ったのは2008年。がんを患った夫の惺(さとる)さん(享年85歳)をみとった後、新聞記事でタオル帽子を知った。

  抗がん剤治療で頭髪が抜けてしまう患者のための帽子。フェイスタオル1枚を裁断し、手縫いで仕上げる。肌触りがよく、洗濯もきく。何より、患者を気遣う思いが伝わる。「裁縫なら自分にもできる。元気なうちに少しでも社会の役に立ちたい」と活動の輪に加わった。

  惺さんは幼い頃の事故で半身が不自由だった。それでも、県内の定時制・通信制高校の教員として教壇に立ち続け、懸命に学ぶ生徒たちに寄り添った。まじめに努力する生徒に対しては人一倍、優しかったが、さぼっている生徒には厳しかったという。障害を理由に社会に甘えることも潔しとしなかった。がんで体が弱った晩年は、ヒサ子さんらに支えられながら、自宅で療養し、最期を迎えた。

  「障害があっても、頑張ってこられたのは皆さんの支えがあったからこそ」。何度も感謝を口にしていた惺さんの遺志を組んで、香典の一部は福祉団体などに寄付。タオル帽子と出合い、ヒサ子さんも自分なりの「恩返し」の道を見つけた。

  ぺっこ帽子は暑い時期、汗をかいて帽子を取り替える患者の姿を見て「使い捨ての帽子があってもいい」と作り始めた。タオル帽子より縫い方を簡単にし、首筋に当たる部分には、抜けた髪が散らばらないよう柔らかめのゴムを入れている。使い捨てで構わないのだが、洗って何度も使ってくれる患者が少なくない。

  「帽子のおかげで社会とつながり、友達もできた。むしろ、患者さんたちに、自分が癒やされている」とヒサ子さん。「医療が進み、いつか、誰も、この帽子をかぶらなくてもいいようになってほしい」と願う。
(馬場恵) 


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