盛岡タイムス Web News 2015年  12月 1日 (火)

       

■  〈おらがまちかど〉81 滝沢市 小岩井地内 賢治の詩魂と歩む まちづくり推進委 生誕120年へ看板設置(馬場恵)


     
  小岩井地区まちづく委員会が小岩井駅前に設置した看板  
  小岩井地区まちづく委員会が小岩井駅前に設置した看板
 

 わたくしはずゐぶんすばやく汽車からおりた/そのために雲がぎらつとひかつたくらゐだ―。宮沢賢治の長編詩「小岩井農場」(春と修羅・第一集)。1922(大正11)年5月21日、橋場軽便線小岩井駅に降り立った賢治は、小岩井農場までの約5`の道を散策。「心象スケッチ」と呼ばれる独自の作風で、目と心に映った風景をつづった。現代でも、賢治の歩いた道は、たどることができ、そのみずみずしい感性を体感できる。

  滝沢市小岩井地区の小岩井地域まちづくり推進委員会(小川元春会長)は今年9月、この賢治の歩いた道を案内する看板を立てた。小岩井駅前、駅から北に向かう道と網張街道の丁字路交差点付近、小岩井農場本部の入り口付近の3カ所。岡澤敏男・元小岩井農場展示資料館長のまとめた「賢治歩行詩考」を参考に、賢治が歩いたルートと長編詩の登場部分を地図入りで簡単に紹介した。

  看板の解説などによると、網張街道の丁字路交差点付近は、水の湧口があり、篠木坂を越えて長山街道へ旅する人たちの憩いの場でもあった。長編詩のパート二は、この交差点の手前から始まり「ひばり ひばり/銀の微塵のちらばるそらへ」と上空でヒバリが盛んにさえずるさまも描かれる。

  農場入り口付近は「小さな澤とい木だち/澤では水が暗くそして鈍ってゐる」と表現されている。この沢は「巡り沢」と呼ばれ、橋を渡り小道を200bほど行くと醫院(医局)があり、さらに先にパート四の冒頭に登場する「本部の氣取った建物」(小岩井農場本部)がある。

  同委員会は、市のまちづくり方針である「滝沢地域デザイン」に掲げた小岩井地域の姿を実現することを目標に活動。特に来年は賢治生誕120周年の節目に当たり、全国の賢治ファンが訪れる機会も増える。地域の宝をみんなで再認識しようと9月27日には、賢治が歩いた道をたどる散策会を実施。11月3日には雫石と宮澤賢治を語る会の関敬一事務局長を招いて講演会も開いた。

  小川会長(74)は「地元に住んでいても、賢治の詩とこれだけ深い関わりがあることを、知らずにいる人が多い。観光資源としても有望。潜在的な魅力の発掘は、交流人口を増やすことにもつながるのでは」と話す。小岩井自治会の柳橋民治会長(68)も「子どもから大人まで関心を持ってもらうことで、地域を元気づける、また新たな広がりが生まれるのでは」と期待する。
(馬場恵)


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