盛岡タイムス Web News 2015年  12月 23日 (水)

       

■  〈花林舎流庭造り―よもやま話〉48 野田坂伸也 高枝切りの新技術


     
   高い枝から落ちないようにロープで体をカバーしている。腰のところから下がっているロープは切った枝を下すときに使う  
   高い枝から落ちないようにロープで体をカバーしている。腰のところから下がっているロープは切った枝を下すときに使う
 

 盛岡のあるお庭で高木の枝おろしを頼まれました。広いお庭で、桜の大木が2本、高さ20b近い公孫樹が1本と栗、柿、豆柿の大きい木がそれぞれ1本、そのほかに隣家との境界を越えて伸びているモミジもあります。近隣の人々から、落葉、栗の実とイガ、柿の実などが道路に落ちて迷惑しているという苦情が寄せられるので、敷地境界から50aくらい内側まで枝を切ってほしい、という依頼でした。

  大きな木ばかりで、高い枝は10b以上ありますからはしごをかけても届きませんが、木登りして切るのは危なくてとても無理です。そこで、時々手伝ってもらっている40歳代の造園技術者に相談してみました。すると、彼が「私がやりましょう」と自信たっぷりに言いますので頼むことにしました。「危険作業ですから、日当はいつもより高いですよ」と言われましたが、それはもっともだと思いましたので承諾しました。

  当日になり、初めて彼の高枝切りの作業に付き合いましたが、次のような手順で行われました。

  @目的の枝の近くまでは長いはしごで登ります。はしごに乗ったままで切れる場合は、もちろんそこで切りますが、それより高い枝を切るときは次のようにします。

  A登山のロッククライミングをするときに使う器具とロープで、自分の体が落ちないように太い枝にくくり付けたり、ロープで空中にぶら下がります。

  B別の枝に滑車を取り付け、別のロープを滑車に通してその一方の端を地上に下ろします。地上にいる助手がそのロープの端を丈夫な杭(くい)などにしっかりと取り付けます。

     
  これから上の枝を切る準備をしているところ  
 
これから上の枝を切る準備をしているところ
 

  C切る枝は滑車をくぐらせたロープで縛ります。助手はそのロープがたるまないように調節して保持していますが、太い枝を切った時には一気にかなりの重さがかかりますから、その衝撃を緩和するような仕組みの器具がついています。

  D地上に下ろした枝を外してロープの一方の端をまた上にあげます。

  この繰り返しで少しずつ切り下ろしていきますのでずいぶん時間がかかりますが、重機が入れないところではこのようにして切っていくしかないと思いました。また、人力作業ですから極端に太い木はこの方法では困難でしょう。

  彼はこの技術を県内のあるグループから習ったそうです。元は外国から導入された方法だ、とのことでした。墜落しないようにロープとロッククライミングの器具で体を確保する、など合理的にできていることに感心しましたが、当然のことでもあります。安全を軽視すれば怖くてとてもやれるものではありません。昔の山林作業者には木から木へと飛び移る軽業師のような人がいた、と聞いたことがありますが誰でもできたわけではないでしょう。今回見た技術であればある程度、身軽で腕力のある人なら、研修を受ければできるようになると思いました。それにしてもスリル満点の仕事でした。
 


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