盛岡タイムス Web News 2015年  12月 28日 (月)

       

■  おいしさ乗せて古里へ 紫波町の菊池史子さん 女性の働き方提案 キッチンカー「fu-go」


     
  「この場所を拠点に、いつか大槌へ」と思いを語る菊池史子さん  
  「この場所を拠点に、いつか大槌へ」と思いを語る菊池史子さん
 

 紫波町紫波中央駅前2丁目のオガールエリアの一画で販売されているクレープが、地域で話題を呼んでいる。同町二日町の菊池史子さん(39)は5月にキッチンカー「fu-go(フーゴ)」での営業を始めた。3月に以前の職場を退職し、千葉県で1カ月間の修行を経て開業。大槌町から10年前に移り住んだ菊池さんは、第二の古里となった紫波に対する感謝の気持ちを抱きながら「この取り組みを軌道に乗せて、いつか胸を張って大槌に行きたい」と思いをはせる。

  町役場の南側で営業している緑色を基調としたキッチンカーは、オガールエリアの利用者や地域住民にとってお馴染みとなり、子どもが母親の手を引っ張り来店する姿が後を絶たない。約20種類のクレープやコーヒーを販売する同店。もっちりとした食感の皮に包まれたクレープは、一度食べた人の胃袋をがっちりとつかんでいる。

  菊池さんは10年前に大槌町から移り住み、産直施設の紫波農園(同町小屋敷)の立ち上げから関わった。季節ごとのイベントや食べ物を楽しみに多くの来客があった一方で、立地や移動手段などで「行きたいけど、行けない」という声が聞こえてきたという。

  「待つんじゃなく、自分から行こう」。さまざまな場所で自分から出向き、人に楽しんでもらいたいという気持ちが、少しずつ高まっていった。具体的な形はなく、漠然とした思いだったが、知人に相談する中でキッチンカーに行き着いた。

  「紫波農園はブルーベリー狩りやピザが人気で、お客さんからは『ブルーベリーのお姉さん』『ピザのお姉さん』と呼ばれていた。ここで営業を始めてからも覚えていてくれた人が気付いて、声を掛けてくれる。移住から10年経つが、紫波の皆さんには本当に良くしてもらっている」と町への感謝を語る。

  オガールで営業し続けることは、菊池さんが目指すものではないという。「ここに居座れば、以前と一緒になる。まずはいろんな人に知ってもらって、安心感を持ってもらい、信頼してもらった上で、さまざまな場所に行って、喜ばせたい。そして、いつかは大槌に行けたら」と話す。

  古里の大槌町には、津波で家族を亡くし、シングルマザーとなっている友人も多くいるという。収入が必要な一方で、育児で働く時間が限られる母親たちに向け、働き方としての提案を目指すことも原動力の一つとなっている。第二の古里への感謝を込めながら、いつか大槌を訪れることを目標に掲げる。

  菊池さんは「震災が起こったことが、この仕事を始める最後の一押しになった。私がキッチンカーでの販売を軌道に乗せることができれば、女性の働き口としてのモデルにできるのでは、と思っている。この店を通じて、どのように人の役に立てるか分からないが、そういったことも含めて、良い形にしていけたら」と話していた。

  午前11時から午後5時まで。1月上旬から3月末までは町情報交流館(オガールプラザ内)に出店予定。

  問い合わせは菊池さん(電話080―3195―2308)まで。


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