盛岡タイムス Web News 2016年  2月 6日 (土)

       

■ 滝沢市 情報化の郷土づくり IPUイノベセンター 県立大の知財を活用 軌道に乗る入居企業




     
  仕掛け人の滝沢市経済産業部企業振興課職員  
  仕掛け人の滝沢市経済産業部企業振興課職員
 

 滝沢市巣子の滝沢市IPUイノベーションセンターの取り組みが軌道に乗っている。滝沢市情報配信アプリ「たきざわNAVIチャグまる」、ネットショップ「チャグまるしぇ滝沢」、ネット商店街「ちゃぐーる」など、入居企業が関わるシステムは、ITで市のけん引力になっている。昨年11月には、同センター入居企業制作の空撮PR映像を公開。県立大との連携が深まり、全国に拠点機能を発信する。同市経済産業部企業振興課に、同センターが滝沢にもたらす可能性を聞いた。

  同課の木下昇三課長は、「センターの強みは、発想を形にすることができる現場の提供力」と分析する。同センターの入居企業はさまざま。映像制作、福祉系のシステム構築、モバイル端末のソフト開発などICT産業の多様性を体現している。

  一方、企業側には「作っても本当に実用化できるか、実証する場所がない」という共通の悩みがあった。大企業は専門の研究施設があるが、国内のICT企業はほとんどが中小のため、高度な研究環境の整備は難しい。

  木下課長は、「首都圏のある企業を訪問した際、農業システムを試作したと聞いた。しかし、農業を知らない開発者は作ったシステムを実用化できるか疑問を持ち、立証できる場所を探していた。滝沢は外から見ると、農林業や盛岡市などに近い立地など条件がそろっている。県立大との連携など、この場所でしかできないことがある」と強調する。

  首都圏から入居した企業は、地場産品に付加価値を高めるのに一役買っている。木下課長は、「チャグまるしぇで販売する『滝沢はるか』が良い例。リンゴは滝沢のどこにでも売っている当たり前の作物。しかし、外から来た人はブランド化をしないのが不思議と思うらしい。1個1千円と言われたら地元の人は誰も買わないが、全国に目を向ければ喜んで買う人が多いと言われた。ネットショップは物事の見方を変えるきっかけになっている」と、高く評価する。

  経済産業部の福田一宏部長は「課題は地方だからこそできる、見えてくることにどう向き合うか。ITはかつて便利な道具のようなものだった。しかし、現在はただ作るだけではなく、マクロな戦略とミクロな戦術が必要になってきた」と話す。

  さらに「例えば、ITにバリューチェーンやサプライチェーンを付けてPR戦略まで見ると、視点次第で選択肢が増える。都会のように効率化を目指すか、人がやらない方向を目指すか、新たな分野を作るか。イノベには単なる産業集積以外に『選択肢の創出』という可能性がある」と期待した。

  同センターは今後も異なる視点からアイデアを生み出していく。盛岡広域圏のIT産業基地として、産業集積と新たな価値の創出に期待が集まっている。(戸塚航祐)


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