盛岡タイムス Web News 2016年  4月 29日 (金)

       

■ 〈潮風宅配便〉299 草野悟 宮古の独り飯珍味食卓


 

     
   
     

 単身赴任の宮古の家では、よく料理をします。時折、三陸鉄道の社員が腹を減らして訪ねてくるので、海産物は常時ストックしています。小さな冷蔵庫の冷凍室はいつもアワビやらホタテやらカレイ、カニなどがぎっしりと詰まっています。旧山形村の友人から短角牛が送られてくるので、肉に困らないというぜいたくさです。

  4月が近くなるとドンコやタラが安くなります。旬の終わりです。それでも肝はたっぷりと膨らんでいます。肝と身をショウガ、ネギ、みそ、酒を加えてたたきます。「ドンコのたたき」です。宮古の居酒屋は刺し身風のもので、こんなにトロトロになるまでたたきません。こうなるとむしろ千葉県銚子市の「さんが」に近いものかもしれません。ドンコの甘みと薬味とみそが絡み付き、癖のない上品な白身は「いくらでも食べられる」食卓の主役となります。さらに余ったあらをみそ汁にしました。ちょっと物足りないので冷凍庫から、釣ってきた小型のアイナメを焼き、タラコは甘じょうゆで煮ました。早取ワカメはいくらでも手に入るので、冬はたっぷりと食べます。田老の道の駅で買ってきた大きい粒のギンナンが心地よい歯応えで焼酎を進めます。仕事が終わり、住み家に帰るとすぐに料理を始めます。全部出来上がってからシャワーを浴び、テレビをつけて夕食となります。

  いかにも独り料理としては多いような感じですが、実はいつもこんな感じなのです。材料費は一番高い120円のギンナンです。全部で300円程度でしょうか。

  マダラはこの時期、産卵が終わり荒食いとなってよく釣れます。大きいサイズは1匹でも持て余します。半身に塩を振って外の干し籠で一夜干しにしてから冷凍庫に保存します。半身は昆布で締めて2日起きます。寝かせておくとコンブがよく染み込み、上品な香りのお造りができます。晩酌にはもってこいのごちそうとなります。きょうのドンコのたたきは多かったので、銀紙の上で焼いて食べました。もう…最高でした。そのうち、「おひとりさま専用料理店」も開くかな。
(岩手県統括コーディネーター)


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