盛岡タイムス Web News 2016年  11月  12日 (土)

       

■ 〈体感思観〉 編集局 馬場惠 思いやりでつながる社会へ


 
 先日、料金はいりません、料理に込められた「思いやり」を受け取って、他の人に別の形でその「思いやり」を贈ってほしいというランチ会に参加した。「つながる食卓Tomo」という社会実験だ。食卓に上ったのは、カレーや芋の子汁。材料は、ほとんどが寄付。料理するスタッフもボランティア。笑顔に囲まれ、おいしい料理を味わうと、自然に他人に優しくしようという気持ちが沸いてくる。

  運営委員の一人、NPO法人くらしのサポーターズ事務局長の吉田直美さんは、生活困窮者ら社会で生きづらさを抱えている人の相談に乗り、自立まで寄り添うパーソナルサポートに取り組む。残念ながら、自立プランを真剣に考え、社会に送り出しても、再び状況が悪化し戻ってくるケースが少なくないそうだ。

  お金の有無がものをいう「ギブ&テイク」の経済社会では、提供できるものがない人は救われない。支え合いで生きられる懐が深い社会を作らなければ、根本的な解決にはならないと痛感しているという。100%支援を必要としていた人が居場所を見つけ、50%でも自立できるようになれば、社会にとってもプラスだ。

  「受けた恩を他人に送っていくギブ&ギブの『ギフト経済』や『シェア経済』の世の中なら、もっと生きやすい人が増える。恩送りのムードがまちに広がってほしい」と社会実験の狙いを語る。

  ふと思い出した。田舎では、多めにとれた魚貝類や野菜を日常的におすそわけする。少し行動が怪しくなってきた高齢者も近所中で見守っているため、何とか暮らせる。意識しなくてもギフト経済やシェア経済で地域が潤っているのだ。

  人と人との絆が危機を乗り越える大きな力になることは東日本大震災でも証明された。経済社会が高度に発達した現代だからこそ、優しさや思いやりでつながる社会の原点に立ち返ってみる必要があるのではないか。


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