盛岡タイムス Web News 2016年  11月  19日 (土)

       

■  〈体感思観〉 編集局 大崎真士 両陛下のお姿に


 人生で初めて、天皇皇后両陛下にお目にかかる機会に恵まれた。希望郷いわて国体と東日本大震災の復興状況ご視察を取材した。陛下が8月8日に生前退位のにじむお言葉を語られて間もない時期、お二人の県民に向けた細やかな心遣い、互いをいたわる姿に接し、胸が熱くなった。

  9月28日から10月2日まで4泊5日、1地方に対して異例の長期ご滞在。行く先々で詰め掛けた県民の歓迎に笑顔で応えるお二人。一度は建物内に入ろうとしても、振り返って声援に手を振る姿を何度も見た。

  沿岸ご訪問では住民と丁寧に言葉を交わしていた。追従者の案内でご移動されても、皇后さまが住民と話を弾ませていると、陛下も再び歩み寄っていたことを、県の行幸啓担当者から教えてもらった。被災地訪問に対する強い思いは、象徴天皇の役割や責任感を超えていると感じた。

  JR盛岡駅では5a足らずの段差の前で皇后さまにそっと手を添える陛下、花巻市内のホテルでは移動でお疲れの陛下の背中に触れぬよう腕を差し出す皇后さまがいた。

  両陛下は82歳。お元気であるとはいえ、従来通り公務に打ち込まれるのは並々ならぬ努力や覚悟が必要だろう。もちろん、初めてお目にかかっただけで、立場やお気持ちを理解できるなどとは思っていない。

  私の両親もお二人と同世代だ。高齢による体の衰えを自覚しながら、務めを果たすことの過酷さは、想像に難くない。

  訪問先の到着時間が報道されなくても不思議と大勢の県民がその場に集まり、日の丸を振って大声援を送っていた。警察による厳重な警備、詰め掛けた群衆を整然とまとめ、粗相のないように仕切る光景があった。「なかなかお目にかかれない」という、カリスマ性の演出にも映った。

  しかし、そんな演出など無用に感じるほど、両陛下の国民に対する真摯(しんし)な姿勢を、取材で垣間見ることができた。


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